第1章 女神誕生
「な、なんで私はここに…?」
ユリウス「国境付近の村にダイヤモンド王国が攻めて来たという知らせを受けてね。ヤミに討伐に行ってもらったんだが…。」
ヤミ「村に着いた頃にはすでにダイヤモンド王国のやつらはいなくなってて代わりにお前がいた訳だ。」
「それは多分私のお母さんが…」
コムギは全てを説明した。
村がダイヤモンド王国に攻め込まれたこと。
村人は恐らく誰一人として生きていないこと。
母が自分を庇って死んだこと。
「何故かは分かりませんがあの人たちは私を探していたみたいです。」
自分の姿に変身した母を捕らえようとしていたことまで。
村に起こった全ての出来事を話した。
ユリウス「なるほど。辛いことを話してくれてありがとう。」
ヤミ「…お前、名前は?」
「コムギといいます。」
ヤミ「ダンナ、コムギはこれからどうするんだよ?」
ユリウス「ダイヤモンド王国がこの子を狙っていたというなら保護するべきだ。ただどこで保護をするべきか…。ここで保護をすることも出来るが王がこの子を見た時に何を考えるか分からない。」
コムギは容姿がとてもいい。
ユリウスとヤミが今まで出会ったことのある女性の中で1番と言っていいほどの容姿をこの年齢でしている。
この国の王は少しネジがズレているところがある。
もし王がコムギを見た時に何を言い出すか分からない。
王直属の召使いか、はたまた愛人とされるか。
ヤミ「だったらウチで預かりましょうか?」
「え?」
ヤミ「ウチのアジトだったら王族も貴族もあまり近づかない。コイツが頭の悪ぃやつらに無意味に傷付けられることもないと思うんですけど。」
ユリウス「それはとてもいい提案だね。あとは彼女の気持ち次第かな。」
ヤミ「嫌なら別に構わねえ。でもお前が来たいって言うならウチは大歓迎だぜ。」
最初は少し怖かったが、この少しの時間で根は優しい人なんだろうとコムギは思った。
行く宛てもなければ親戚もいない。
ハージ村の教会はあるが他に子ども達も沢山おり、自分が行くことで迷惑をかける可能性がある。