第1章 女神誕生
「な、なにこれ…?」
たしかにコムギは自分の家に着いたはず。
なのに自分の家は真っ赤に燃え上がり村中の建物という建物が燃えている。
逃げる村人を追いながら魔法を放つ人物たち。
よく見るとクローバー王国の人ではない。
「ダ、ダイヤモンド王国…!」
その人たちが纏っている洋服にはダイヤモンド王国の紋章があった。
たしかにこの村はダイヤモンド王国との国境付近にあるがダイヤモンド王国がここを攻める理由がない。
ここを攻めてもクローバー王国の領土を手に入れたとはいえないほどに小さな村。
一体何が目的なのか。
母「コムギ!」
「お母さん!」
母がコムギを見つけて走ってくる。
母「よかった、無事で!とにかくこっちに!」
母に手を引かれてコムギが向かったのは村の地下室。
そしてその地下室の奥には魔法で出来た壁に見せ掛けた扉がありその奥にまた部屋が広がっていた。
母「いい?コムギ。あなたはここに居なさい。」
「え?お母さん?」
母「あなたは生き残るべき存在。あなたのその力は下民じゃ到底捻り出せないもの。自分が何故その力を持って生まれてきのか、ちゃんと考えて…」
母が話している意味がコムギには分からなかった。
頭が混乱している。
しかし母が話している途中で声がする。
男「おい!こっちに部屋があるぞ!」
「!!!」
ダイヤモンド王国軍がすぐそこまで来ていた。
母はもう1度コムギに向き直る。
母「いい?コムギ。あなただけは絶対に生き残って。」
「やだよ…やだよお母さん、行かないで!」
母「変身魔法」
母が魔法を唱える。
すると母の体がみるみるうちにコムギの姿になった。
「…え?」
母「…あの人たちの狙いはアナタ。でも絶対に死なせないから。」
そう言って母はコムギの姿で部屋を出ていく。
嫌な予感がした。
嫌な汗がまたコムギの背中をつたう。
すると外から声が聞こえる。
男「いたぞ!あいつだ!」
男「捕らえろ!!」