• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ある鬼狩りの家で働いた話

第1章 〜 最終章


「父上は、兄上が任務の時、いつもよりお酒の量が増えるのです」
と鍋の火を見つめながら悲しそうに次男坊が言う。父上が体を壊さないか心配で、と続けて言う。
それならせめて、体に優しいおつまみを持って行って差し上げましょう、と私は言った。次男坊の表情が少しだけ明るくなった。
なんて優しい子だ、と思った。

冷奴と、蛸と胡瓜の酢の物を準備する。そして頂き物の菓子箱の中に、聞いたことのある西洋菓子が入っていたので、それも準備する。

機嫌は悪くないだろうかと少し緊張しながら、おつまみをお持ちしました、と部屋の外から声を掛ける。
ああ、という低い声が聞こえた。そこまで機嫌は悪くなさそうだ。安心した私は、失礼します、と言って部屋に入る。

__冷奴と、酢の物でございます。そして、お酒を飲む前にこちらの菓子を食べると良いと聞いたことがありますので、持って参りました。

と私は伝えた。
彼は、これは何だ、と菓子を摘んで怪訝そうな表情で尋ねる。私は、こちらは"チョコレエト"と呼ばれていて、お酒を飲む方の胃に優しい菓子だそうですよ、と答える。
ふうん、と彼は言い、躊躇わずに口の中にそれを放り込んだ。
しかし口に入れた瞬間、
「これは甘いな。甘すぎるな」
と彼が呟いた。これ以上は無理だ、俺はもういらん、残りは食べてくれと続けざまに言う。
流石に酒飲みに甘い菓子は無理だったか、機嫌を損ねてしまったか、と思った。大変失礼しました、と私は答え、急いで近くにあった懐紙を渡した。

その瞬間、私の口の中に経験したことのない甘みが広がった。
/ 7ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp