第11章 ミッドナイト 「好きな料理」
「あれ、今日は早いんですね!」
いつもは誰も居ないのにミッドナイト様が既に椅子に座っていた。
「……あの後直接ここに来たから」
彼は目を瞑ったまま答える。
「え、早っ!暇じゃなかったです?」
「静かな所で寝ることがボクの好きな事だし」
「へー……」
食事を机に用意している間沈黙が流れる。
「あ、そう言えば!ミッドナイト様ありがとうございました。服が透けて下着が見えちゃってたんですよね…。ごめんなさい!」
「そう言うの大きい声で言えるの凄いよね」
鼻で笑うように言われるけど気にせず質問する。
「それより、ミッドナイト様の好きな料理ありませんか?もし良ければお礼に明日の晩御飯に作ろうかなって!」
「…好きな料理なんかない。お礼も別にいい」
「そんな事言わないで。じゃあ好きな料理お探しするの手伝いますよ」
「いや、良いって……」
ミッドナイト様が頭を抑えた時、
「おお…。もう来ていたのか。探していたぞ」
ブレイン様に続いて皆さんが入ってくる。
慌てて食事を並べていると
「すいません。父さん。たまたま時間的にもここが近かったので先に来てしまいました」
とミッドナイト様が謝る。
「ああ、良い。それよりカナタ。今日は?」
「では、並べ終えたので説明させていただきますね。こちらはタルタルソースとブロッコリーのソテー。サーモンのマリネにホワイトシチューです。こちらの白パンにつけて頂くなどして食べてください」
1つ1つ説明するのが毎日のこと。
だから自然と聞いて豪華そうに聞こえるものを作るのが普通になっている。
「そうか。もう下がっていいぞ」
「はい」
私が頭を下げて食堂から出ていくとナイフとフォークの音が聞こえるから食べ始めたのだろう。
少ししてから昨日冷やしていたジェラートを持って食堂に入る。
「失礼します。デザートを持ってきました」
頭をあげるとまだ皆お揃いだった。
「ジェラートお食べになりますか?」
「味は何だ?」
エンジェル様が聞いてくる。
「ストロベリーとマンゴーとグレープです」
「んー…。ストロベリーにする」
「分かりました。用意しますね」
エンジェル様の前にストロベリージェラートを置くと彼女は嬉しそうに微笑んだ。