第11章 ミッドナイト 「好きな料理」
あ、私も急がなきゃ。
近くに生えていた植物の枝に手を伸ばして川から出ようとした。しかし枝が折れてしまってまた川に落ちてしまう。
「ミ、ミッドナイト様!!助けてください…!」
いるかいないのか分からないミッドナイト様に助けを求める。
返事がない。
このまま死ぬのか。馬鹿みたいじゃん。
不安になるもとりあえず壁に手をつきながら上がれそうなとこを探しているといきなり腕を引っ張られる。
私を川から出してくれたミッドナイト様に感動していると
「敷地内でアンタが死んだら父さんが嫌だろうから」
とだけ言って私にバスタオルを投げつけた。
それで髪を拭いているとまたため息をつかれた。
歩き出したミッドナイト様を追いかけて私も建物の中に入った。
横を歩くのはおかしいかと思ってミッドナイト様の1歩後ろを歩いていると前からコブラ様が歩いてくる。
「おー、いたいた。カナタ。キュベリオスのご飯まだ……か」
近づいてくるなり目を丸くして溜息をつきながら顔を片手で覆った。
「お前は一体何をしてそんな格好になったんだ?」
目を閉じながらそうやって聞いてくる。
どういうこと……?
ミッドナイト様に目を向けると彼はため息をついてから私のバスタオルを剥ぎ取った。
「え!私の為じゃなかったんですか…?」
何も言わずに1度タオルを広げてから私の体にぐるぐる巻き付けた。
「……これで良いだろ。コブラ」
「おう……。俺もう行くわ。見ちまって悪ぃなカナタ。キュベリオスのご飯は後で大丈夫だ」
2人で目を合わせた後コブラ様は歩いてどこかへ行ってしまった。
「…アンタも早く浴室行きなよ」
あ、そっか。
洗濯物もあるんだった。
「ですよね!行ってきます!」
そう言って走って浴室へ向かった。
洗濯物も無事見つけて洗っているときふと鏡を見た。はだけたタオルの隙間から下着が透けて見える。
「…あーっ!!そういう事!?うわ、恥ずかし…」
顔を覆いながらしゃがみこむ。
まあ、凹んでいてもしょうがないので新しい服に着替えて来る事にした。
洗濯物も済んでご飯も作り終わる。
私の仕事は食堂にきた皆さんのご飯を用意することでもあるから食堂にご飯を運びこむ。