第11章 ミッドナイト 「好きな料理」
ブレイン様に拾ってもらって一ヶ月。
だいぶこの生活に慣れてきた。
魔道士でも無い私がここに居られるのは皆が何も言わないでくれるからだと思う。
私は特に誰かと仲良くなったりってことは無い、むしろ一部の人から嫌われてそう。
でも皆私を追い出そうとしてくれてないだけでも有難いことだ。
今日は洗濯物を干してから料理を作って終わり。
洗濯場に行こうと思って廊下を歩いている時、ミッドナイト様が川の近くでうとうとしているのが窓から目に入った。
え、あれ危なくない?
あの川深いから落ちたら溺れるよね。
持っていた洗濯物を廊下の端に置いて私は走った。
どこだっけ…?
……あ、見つけた!!
ミッドナイト様が今にも川に突っ込みそうな位置で眠りについている。
起こそうと思ったけど、なんか入ったばっかのときに誰かから起こすなって言われたような気がする。
……綺麗な寝顔だな。
私は胡座をかくミッドナイト様の前に座って寝顔を観察することにした。
前々から綺麗な人だと思ってたし、溺れちゃいけないから見張っとくって言う事で。
なんか土の匂いがする……。
ハッと目が覚めると前には本格的に横になって寝ついているミッドナイト様がいた。
私も寝ちゃってたんだ……!今何時!?
焦りながら睡魔でほぼ開かない目と動かない脚でヨタヨタ走る。
すると何かに滑って凄い音と共に水の中に落ちた。
急な事に驚いたけど急いで水面に顔を出す。
「し、死ぬかと思った……!」
半分笑いながら私は髪を絞った。
すると足音が近づいてくる。
「…………………何してんの」
あ、ミッドナイト様起きたんだ!!
慌てて挨拶をする。
「ミッドナイト様。おはようございます!」
「……ボクせっかくアンタを川から離してやったのに」
そう言われて私は首を傾げる。
あれ?そう言えば寝る前は川からほんの数歩分くらいしかなかったけど起きた時ちょっと走り回ってたな。
「あ、ありがとうございました」
「……手」
手を伸ばされる。
「手?え、お礼に手をくれ…みたいな感じ?」
「…はぁ。違う。1人で上がれるなら良い」
また首を傾げる私にミッドナイト様はため息をつきながら歩き出してしまった。