第10章 ナツ 「ちょっとだけ成長…?」
屈託のない笑顔を向けられると凄く私が邪な人間だと思ってしまう。
……ほんとはもうちょっと触ってほしかったり。
私が1人ため息を着くとナツはオロオロし始める。
「お、俺変なこと言ったか!?……もしかしてお前俺との話じゃねえのか!?……グレイとか他の奴とイチャつきてえのか!!」
ガッテン承知がいったようにしてから私の肩をガクガク揺らしながらサイテー!と叫ぶナツを止める。
「いや、違う違う!そりゃもちろんナツと…」
「はは!分かってる!」
焦った私の頬をむにーっと引っ張ってくる。
ほっとしたのもつかの間、
「俺と……、なんだ?」
キラキラとした純粋な目で見つめてくる。
モゴモゴしている間もその目で見つめてニコニコと返事を待つナツに私の母性が破裂した。
「あー、もう!……ナツともっとキスしたいし、手繋ぎたいし常に引っ付いてたいの!何だったらずっと抱きついてたいし…甘えてほしいし」
言い出したら止まらない私を見て目を丸くする。
そして真っ赤になって口を閉じる私を見てナツはプッと吹き出した。
「お前普段から手繋いだりしてきてたじゃねえか。何で今更そういう事言うの照れてんだよ!」
ケラケラ笑うナツに私は膨れる。
「いや……違くて!もっと……こう」
「なんだよ!俺だって言ってくれたらする!」
むっとした顔で見られる。
一方こちらもむっとしていると。
「言葉で言ってくんなきゃ分かんねえぞ!俺バカなんだから!……本当は何がしてほしいんだ?」
そう言われてどうするべきか考える。
これを私から口に出すのは何かやだ。
「…そうだよね」
真剣に頷いていると「いや、それも失礼だぞ」と言われる。
「んー…。まあまだナツには早いし……焦らなくてもいいからね。さ、上がろっか」
ここからなんとか逃げ出したくて立ち上がる。
「あ、おい!」
その声に振り向かず急いで言った。
「上がってこないでね!水着脱ぐから!!」