第10章 ナツ 「ちょっとだけ成長…?」
そう言った瞬間ナツの体が熱くなっていく。
やりたい事を察した私は急いでナツから離れた。
それを見たナツは本領発揮と言わんばかりに炎を出し始めてプールをお湯に変えていく。
あっという間に湯気が出るほどのお風呂に早変わりしてしまった。
「これで大丈夫だろ?」
得意気に笑うナツに私も吹き出してしまう。
「そうだね。じゃあまだ入っておこうかな」
湯船につかろうとナツが背をつけていたのとは逆の方に入ろうとした時、私の腰の前に手が回されて引き寄せられる。
私は背を向けたままナツの膝の上に座った。そして私の首に顔を埋めてくる。
「ちょ、ナツ!」
「なんだ?」
赤くなった顔を隠すために下を向いた。
「…お風呂くらい離れようよ?」
そう言うとナツは首を横に振る。
「俺いっつもカナタと風呂入りたいと思ってたから無理!」
ドヤッという効果音が出ないばかりに言うナツ。
てか一緒に風呂入りたいと思ってたって何?
「危な。良かったー。水着着てて」
「俺的には裸の方が温かくて好」
言い終わらないうちに口を塞ぐ。
「なんちゅーこと言おうとしてんの」
「俺は本当のことを言ってるだけだぞ?」
首を傾げるナツの頬をつまんで引っ張る。
「……何でも口に出せばいいってことじゃありません」
そうか?と考えながらいつの間にか向き合っていた私の腰を抱き寄せるナツの手。
急いでその手を掴むと今度は手をゆっくりと恋人繋ぎをしてくる。
「でもお前が言ってたんだろ。恋人っぽいこともっとやりてぇって」
私の顔を見ながらニッと笑っている。
聞かれてたのか…!恥ずかしい!!
「いや、あれは……えーと。でも、ほら。あれ」
恥ずかしさでプチパニックを起こしながら早口で喋ってしまっている。
そんな私の気も知らずにナツはどんどん私の方に迫ってきていてあっという間に私の背には浴槽の壁がついた。
「なんでそんなに恥ずかしがるんだ?俺もカナタとひっつきたかったし。嬉しいぞ!」