第10章 ナツ 「ちょっとだけ成長…?」
見上げたナツの顔は満足そうな笑顔で、
「ナツ...?」
ナツが私の背中に手を回した瞬間背中に冷たい物が伝った。
「冷た!」
「引っかかったな!ちっこいのまだ残ってたんだよ!!」
そう言われて氷が服の中に入ったのがわかる。私もナツのように服を脱いで氷をだす。
「もー、涼しくしたかったのに暴れちゃって熱くなったじゃん!」
頬を膨らますとナツも笑う。
「カナタが始めたことだろー?」
あちー、と手で仰いでダラダラするナツに私はニヤッと笑いながら聞いた。
「……ナツ。プール、入るか」
「プール?」
「そういう事か!」
目を輝かせながら私を追ってお風呂場に来たナツ。
彼が見たのは湯船に冷水を貯めて残っていた氷を入れたお風呂。
我ながら賢い 天才!
早速水着に着替えていた私は即席プールに入った。
「冷たーい!!」
キャッキャ騒ぐ私を見てナツも服を脱ぎ出す。
なんとなく見つめていると下着にまで手をかけた。
「待った!ナツ!下着は履いたままでお願いします!」
少し熱くなった顔を水の中に埋めて見つめる。
「なんでだ?」
「見てるこっちが照れる……!」
キョトンと首を傾げてくるナツに私は顔を覆う。
すると私の頭に手を置いて
「変わってんなー!」
と言いながら即席プールに入ってきた。
……私が普通ではないのか。
「うわー!冷て!」
でもはしゃいでいるナツを見て私は微笑んだ。
少し冷たくなったナツに抱きつくとナツも私を受け止めて抱きしめる。
なんとなくお互い無言になって数分。抱きしめあっているとだんだん恥ずかしくなってきた。
「ナツ、もう上がろっか?寒いし」
「…もう上がんのか?まだ入ったばっかだろ」
口を尖らせて拗ねるナツ。そんなナツの頬をむにむに引っ張ってから撫でる。
「だって寒いんだもん!」
2度目の同じ言い訳をするとナツは少し考え込んでニパッと笑った。
「良いこと思いついたぞ!」