第10章 ナツ 「ちょっとだけ成長…?」
私の家で寝ているナツを横目で見る。
この暑っつい夏をどう乗り切ればいいのか。熱中症になりそう。
付き合ってからというもの特に今までと変わった事はない。…あれからキスもしてないし。
私の家に遊びに来る回数が増えただけ。
「気持ちよさそうに寝やがって…!」
ナツの鼻を塞ぐ。
「ふがっ!」
と苦しそうにするナツを見て私は笑ってから頭を何度も撫でた。
その後ナツにベッドの上を占領されてしまっているので私は少し離れたソファに寝転がった。
ついさっきまでナツに抱きしめられてたんだけどナツの体温が高すぎて抜け出してきた。
「恋人っぽいこと、もっとしたいのにな…」
溜息をつきながら本を読んでいるうちに私はいつの間にか眠りについた。
暑い……。
夢の中で猛火の中に入れられている。
そんな夢にうなされて目が覚めた。
「すげぇうなされてたぞ。大丈夫か?」
息が荒い私の顔をナツがのぞきこんでくる。
いつの間にかまた私はベッドに連れられてナツに抱きしめられていたみたいだ。
「大丈夫。…ナツの体温凄い高いよね」
遠い目をしながらそう笑って起き上がるとナツも私を追いかけるように起き上がった。
「そうか?…冷やしてくる!」
そう言って扇風機の前まで走っていく。
いやいや、そういう事じゃない。
心の中でツッコミを入れながら私はキッチンに向かった。
冷蔵庫を開けて氷を何個か取り出す。
1つ自分の口に含んだ。
んー、口の中涼しいー!
「あ、溶けちゃう」
氷を堪能した後、手の上で溶けだす氷を持ってナツの元へ急いだ。
「ナーツ!」
扇風機に向かってあー、と声を出していたナツ。
振り返ると同時に彼の服の中に氷を落とす。
「うおっ!?冷てえ!!何すんだお前!!」
目を丸くしてから慌てて上の服を脱いで氷を落とすナツを見て笑いが込み上げてくる。
「あはは!気づかなかったでしょ!」
ケラケラ笑っている私に背を向けてあぐらをかいて座り込むナツ。
あれ……?怒った?
「え、…ごめ」
謝ろうとして近づくと腕を掴まれてナツに倒れ込む形になってしまった。