第1章 ナツ 「あの宝石」
「カナタさん…!聞こえますか?」
ウェンディの声が聞こえる。頭が割れんばかりの痛みに耐えながらゆっくりと目を開いた。
「あ、れ…?何で皆…?」
驚くことにベッドの周りにはルーシィやエルザ、グレイに寝ているナツがいた。
「ナツさんが私たちを呼んだんです。…はあ、良かったぁ!皆心配したんですからね?」
「ほんとよ!カナタに何かあったらって...!」
ウェンディとルーシィが怒ってくれているのが嬉しくて笑っているとエルザが少しニヤッと口角を上げて言った 。
「1番心配していたのはナツだがな。『俺のせいで』ってずっと言っていたんだ。...おっとナツも起きたか。」
エルザのその言葉を聞いてナツを見るとナツも私の顔をマジマジと見ていてばっちり目が合った。
寝ぼけた表情から一転、ニパッと満面の笑みを浮かべながら飛びついてくるナツを殴ったグレイが私の耳元で話す。
「ナツを安心させてやってくれ。...言っとくけど俺もお前がどうなるかと思って焦ったんだからな。」
それだけ言って私の頭をわしゃわしゃっと撫でた。
ごめん、と呟くとフッと笑って頬を抓られた。
「...さ、俺らは準備でもしに行くぞ」
「はーい!」
とルーシィ達が外に出て行ってしまう。ウェンディが心配そうにこっちを見ていたから大丈夫!と親指を立てて合図した。
準備がなんの事かさっぱり分からなかったけどグレイたちは2人きりにしてくれるように気をまわしてくれたみたいだ。
皆が部屋から出て言って一気に静かになった。
何となくどちらも声を出さずに1分くらい経った気がする。