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短編 フェアリーテイル

第1章 ナツ 「あの宝石」


「ああ、この生活もしんどいな」


1人の男がため息をついた。するともう1人の男も相槌をうつ。


「こちら側も心苦しいからな...」


と2人で会話している。


「俺たちが長老に斬りかかることになるなんてな…。若い頃は思ってもなかったよな」


1人が悲しげな声が聞こえる。しかしそれを振り切るようにハッキリともう1人の男が言う。


「でも俺らは悪くない」


「...!...そうだよな」


ナツの手にグッと力が入ったのがわかった。


「なんでアイツらは、思い出みたいに話してんだ?」


何も答えられずに黙っているともう一度聞いてくる。


「なんで『悪くない』って思ってんだ?」


横目で顔を見ると青筋が浮き出ている。
私の手を離してナツはゆっくりと立ち上がった。


「もう我慢できねえ」


でも私はそれを止めなかった。走っていくナツをとりあえず追いかける


「火竜の…鉄拳!!!」


いち早く気づいて逃げようとする1人の男の人の顔を殴ってもう1人の方に向き直る。


「火竜の鉤爪!!!」


腹に蹴りを入れてさらに、


「火竜の…!翼撃!!!」


顔を掴んで岩場に投げつけた。
完全に後者の人は気を失ってしまっている。私は腰を抜かしてしまっていたあと一人の人の元に行った。


「アンタら…なんなんだ」


青い顔をする男のその問いに答えることもせず優しく肩を叩いた。


「…では、お話聞かせてください」


「何を話すって言うんだ?」


キッと睨んでくる男にニッコリと微笑んだ。


「貴方達がした事と理由と、全てです」


グッと肩を握ると骨がきしむ音が聞こえる。男は顔を顰めて私の手を掴んだ。


「私、能力系の魔法を持っているんです。一瞬で握力を増加させることが出来る」


男の顔が恐怖に満ちるのが分かった。一生懸命手を離そうとするけれど私は更に力を加えた。


「…あと少しでも力を加えると貴方の肩は粉々です」


そう言って微笑むと男は諦めたかのように体の力を抜いた。


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