第1章 ナツ 「あの宝石」
ハシラさんから貰った地図を見ながら歩いて間もなく、
「なんか…寒くなってきてない…?」
あんなに暑かったのに今は身震いをするほど気温がグッと下がっている。
私は手を温めながらナツに聞いた。
「そうか?そんな薄着してっからだろ?」
コテン、と首を傾げるナツ。
ナツの格好もだいぶ薄着だけどな…。
「っ、すぅぅ…」
鳥肌がたって私はナツに体をひっつけた。するとナツは少しビクついてからススス...と離れていく。
そして一定の距離を保ってから、
「な、なんだ!?」
少し裏返っている声のナツに近づいて今度は腕を組んだ。
「ナツ暖かいからさ...。ちょっとの間だけお願い!」
「…まあ良いけど…」
ナツはこちらを見ずにまた先へと歩き出す
しかし私が抱きついている右腕の手の先には幾つかの小さい炎が出されていて自然と暖が取れる。
それに、歩くペースも私に合わせてくれているようだった。
「……へへ、ありがと!」
しばらく歩くと洞窟のような場所にたどり着いた。気味が悪いし地図とは違うところだけど悪寒が走る、と言うとナツは問答無用で中に入ってしまった。
私の悪い方の感は大抵当たってしまう。だから今回もこうやって行きたくないところに行かされるのだ。
生まれもった魔法とは違うものだけどこういうのはいらなかったのに、そう思いながら私たちは奥に進んで行った。
前方に何かの影が浮かび出す。
「アイツらだな…!」
走り出そうとしたナツを慌てて制止する。
「待って。…あれは…人、だよ?」
そう…そこに居たのは化け物でもなんでもなく少し歳を重ねているであろう40代くらいの男の人達だった。
「なんでだ?」
またまた首を傾げるナツにそう問われても私にも答えがたい。
「ちょっと、様子見てみよっか」
私たちは岩場に隠れて耳を澄ませた。