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短編 フェアリーテイル

第6章 ロキ 「故郷だから」


昨日、謝らなきゃだったな。
なんかロキさん見たくなくて避けちゃう。

それでもロキさんが居ないことを確認してからいつものようにカウンターに座った。

するとミラちゃんが少し声のトーンを落として、


「ロキ、落ち込ん」


「レモンティー1つ!」


ミラちゃんの言葉を遮るように注文する。
するとミラちゃんは笑って奥に入ってしまった。

私は深い溜息をついてカウンターに突っ伏する。



長い間そうしていた私の頬に冷たいコップが当てられる。


「注文のレモンティーです。それでそれで!ロキと何があったの?」


とミラさんは楽しそうに話を聞いてくる。


「だからー!いっつも馬鹿にしてくるあの人にちょっとやり返しただけ!」


そう言って顔を上げると横にいたのはロキさんで。
ミラちゃんはニヤッと笑っていた。

………引っかかった。


「僕が君をいつ馬鹿にしたの?」


少し不機嫌なロキさんは私の目を見てくる。


「それは、だって…、可愛いとか言っときながら子供にするみたいな真似事ばっかするし!」


「…ふーん。なら、こうしてほしいってこと?」


急に私の顔とロキさんの顔が近くなる。腰には手が当てられていて。

顔が物凄く熱くなって固まってしまった。


「ね?カナタはすぐこうなっちゃうでしょ?顔真っ赤にして…。照れ屋さんだな」


何言ってんのこの人。
私が何で怒ってるのかわかってないの?

笑っていたロキさんの頬をビンタする。

ミラちゃんは少し吹き出していてロキさんは目をぱちくりさせていた。


「そういうとこ、ほんと嫌い!!」


泣きそうになりながら走って逃げた。


「ロキ。それは、ダメじゃない?」


「……」




「何なのあの人…!」


私が悪いと思ってたけどあの人はとことん私を馬鹿にしている。

何あれ、あんなのしてるから本気になっちゃって怒る女性が出てくるんじゃない。いつか刺されるでしょ。

イライラしながらギルドから出て歩き続けた。


「…ここは」


ロキさんのことしか頭になかったから凄い遠いとこまで歩いてきてしまっている。

来たくはなかった場所。
来た道を戻ろうと思った時、


「どうしたの?お姉さん」


刺青が体中に入った男の子に腕を掴まれた。



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