第6章 ロキ 「故郷だから」
少ししてからレビちゃんはジェット、ドロイと一緒にクエストに、ミラちゃんは接客に行ってしまった。
カウンターに1人残った私は考えた。
……もし私とレビちゃん達が違うならそれは私のことを意識してないっていう事。
2年前、ロキさんに初めて出会った頃。あの頃の私はだいぶ尖っててよくロキさんにからんでいた。
ロキさんはそんな私にも優しくて、いつも私の愚痴を聞いてくれていた。そう言えばフェアリーテイルに入ったのもロキさんが勧めてくれたからだった。
ほんとに周りの人と私が違うのなら、ロキさんは私の事を女性としてじゃなくて妹みたいに思っているのだろう。
「んー…...、しょうがないよね」
「何がしょうがないの?」
前髪をぐしゃっと手でかきあげると誰も居ないはずの横の席から声をかけられる。
「……なんでもないです。ロキさん」
私が顔を上げずにその声に答えるとそっかぁ、と微笑んで頭を撫でてくる。
こういうとこ、ほんとやだ。
パッと違う方を向いて、
「周りにいた女性たちはどこに行ったんですか」
と口を尖らせながら聞く。
「ん?ああ、皆家に送り届けてきたんだよ。……それより僕はカナタちゃんに嫌われるようなことしちゃったかな?」
私の髪を少しとってクルクルと回して遊んでいる。
何してんだこの人は。
ほんとに私は皆とは違うみたいだ。
「…だ」
「ん?」
ロキさんは私の髪を触ったまま首を傾げる。
「…やだ!!いっつも期待させてからこんな事してからかってばっかり!こっちの身にもなってよ!」
いつもからかってくる御礼に今日くらいは言ってやる、くらいの感覚だったけどなんか気持ちが乗りすぎて机まで叩いてしまった。
近くにいた人達はこっちを見ている。そしてロキさんも少し口を開いたまま私を見る。
「え、と…。その!やめて…、というか。その、あの!んー!!もうやだ!!」
皆に見られている恥ずかしさと何してんだって言う後悔で頭が回らなかった私は髪の毛をグシャグシャにしてから走ってその場から逃げた。
……何してんの、私。
いつもの事だったのに。
ロキさん怒ってるかな。
その日はロキさんの目に映らないように心がけた。