第5章 エルフマン 「君と見たい星空」
着いたのはマグノリア1高い山の頂上。
幾分体力がないので途中から抱えてもらいながらここに来た。
もうすっかり夜になってしまっていて近くにいるエルフマンしか見えない。
「ここで何するの?」
そう聞くとエルフマンは何も言わずベンチに座る。不思議に思って私も横に座ろうとする。
すると手を引かれてエルフマンの膝の上に座ってしまった。
「あ、ご、ごめん!」
慌てて離れようとするがお腹の前でがっちりとホールドされてしまっている。
「え、と……?」
この心臓の音が聞こえてませんように…。
そう祈りながらエルフマンの手に私も手を添えるとエルフマンは口を開いた。
「上を見てみてくれ」
言われた通り夜空を見上げるとそこにはたくさんの星が広がっていた。
キラキラと光る星を見て私は息を飲む。
「凄いね!…ほんと、凄く綺麗。……私の為に見つけてくれてありがとう……」
興奮を抑えられないままお礼を言うとエルフマンは優しく微笑んだ。
「良いんだ。俺もカナタと見たかったし。…それでさ」
そう言われて振り返った瞬間唇に何かが触れる。
一瞬頭が真っ白になった。
そして徐々に今起きたことを理解し始める。
「ちゅ、ちゅーした!?」
あんぐりと口を開けているとエルフマンは私を抱き抱えて向かい合うように座らせた。
「ああ、ちゅーをした。俺はカナタの事が好きだ。結婚を前提に付き合ってくれ!」
顔を赤くして頭を下げるエルフマンの手を握る。
結婚を前提とかずっとエルフマンの事が好きだった私からしたらご褒美すぎる。
「……良いの? 」
「カナタがいい!」
断言するエルフマンに今度は私からキスをした。
何回も何回も、彼が恥ずかしがってても。
今までの想いを伝えるために。
-𝑒𝑛𝑑----------