第5章 エルフマン 「君と見たい星空」
本気で走ったせいで息苦しい。
「大丈夫か?カナタ」
私の背中に手を置いてゆっくりとさすられる。私たちは今建物の影に隠れていた。
「大丈夫。それより、あれは最近活発になってる闇ギルドだね。……成敗しなくちゃ」
「それでこそ、漢だ!」
そう言った途端私はすぐに作り出した弓を構えてエルフマンはビーストソウルを展開した。
「ビーストソウル…、ワータイガー!!」
エルフマンが素早く敵と距離を詰める。敵が走って逃げた先に私は回りこんで弓を構える。
そして弓を撃った。
すると撃たれた敵は仲間になってくれる。
「エルフマンを援護して!」
そう言うと彼らは今まで一緒にいた仲間を倒し始めた。
「お前ら!何をしているんだ!」
私の後ろでボスらしき人が叫ぶ。
「ボス!あいつのせいで!すみません!」
ボスに殴りかかりながら報告をしている。
すると私をひと睨みしてからフッと笑った。
…いや、違う。あのボスは私を見ていない。
「エルフマン!」
魔法が魔法が放たれたのと同時に叫んだ。私はエルフマンの前に操った人を盾におく。
その瞬間、振り返ったエルフマンの顔が強ばった。
「違う!カナタ!!後ろだ!」
後ろ…?振り返るとエルフマンに向けられていたはずの魔法が。
どうやら彼の魔法は追尾型の細い光線だったようで私の腹部を貫通してしまった。
こういう時案外冷静なもので今からどう止血してこの人達を倒そうかと考えていると私の目の前に大きい影が通り過ぎた。
そして真横から叫び声があがる。
何が起きたのか理解できずに横を見るとボスを強く握りしめているエルフマンがいた。
今さっきまで彼がいたところを見ると私が操った人も全員倒れている。
エルフマンはボスを握り潰そうとしている。
「エルフマン!その人たちは捕まえなきゃ!」
そう叫ぶとエルフマンは少し手の力を抜いてから闇ギルドの人達を縄で巻き付け自分の右足に括り付けている。
「…カナタ。すまん!すぐにフェアリーテイルに帰るぞ」
頭を下げてから私をお姫様抱っこして走り出す。
お出かけは無くなったな…。
エルフマンの胸に顔を埋めると驚いた顔をされる。
「痛かったか!?」
「...ううん」
そう言ってエルフマンの腕の中で眠った。