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短編 フェアリーテイル

第4章 ガジル 「どんな時も」


私の言葉を聞いて年配の人が男の人に言った。


「…もしかしてお前さん、あのお金は…!」


「ごめんなさい…!ごめんなさい!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」


男の人に頭を地面につけて土下座をされる。
私は少し戸惑った。


「…お金が必要だったんです!このギルドが無くなってしまわないように…!!」


頭を下げたまま話す。

何だかこの事を知ってこの人達を殺してもお兄ちゃんは喜ぶのだろうか、と考えてしまう。

ガジルの事をチラッと見るとガジルは私の肩を叩いて、


「外に出ておけ」


と、言う。
何故か青筋を浮かせているガジルに私は戸惑いながらもギルドを出た。


少ししてから男の人の叫び声が聞こえる。
私は咄嗟に耳を塞いでしゃがみこむ。

少ししてから女の人の声が聞こえた。


「アンタは関係してないのにこんな事しないで良いでしょ!あの子は許してくれたじゃない!」


そんな声が聞こえた。
許した?そんなわけない。

私の中で黒い気持ちが渦巻いたとき、


「オレはガキに殺す殺さないの選択はさせねえ。…カナタは多分甘いヤツだから、お前らが死んでも後悔する。」


その言葉の続きを聞く。


「なら、俺が勝手にお前らをコロス。」


ギヒッ、という笑い声と共にまた爆発音のようなものが聞こえ始める。

あの人たちからしたらおかしい話かもしれないが、私は嬉しくって涙が出てきた。

だから、それ以上悲鳴が聞こえないように私はギルドから少し離れた所まで歩いた。

岩場にしゃがみこんで耳を塞いで待っていると後ろから肩を叩かれる。
振り向いて私はすぐ彼の胸に飛び込んだ。


「ありがとう…。ガジル…!」


ガジルは私の顔を見て涙を拭った。


「もう、アイツらの事は思い出さなくていい。魔物の事も、思い出すんじゃねえ」


そう言ってまた抱き抱えられた。


「…そう言えば…、もう遅いけど正規ギルドって潰しちゃダメなんじゃ…?」


お母さんから聞いた事を聞くと、


「オレらは闇ギルドだからな。関係ねえ」


と言われる。
そして歩き出す。私はガジルの頭に抱きつきながら思った。

かっこいい…!他の人の悪者でもいい。
お兄ちゃん、私この人と生きたい!
ペンダントをギュッと握りしめて空を見た。


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