第4章 ガジル 「どんな時も」
私は今まであった事をガジルに話した。
嗚咽で聞き取りにくい所もあったけれど何も言わず聞いてくれた。
そして話終わるとガジルは椅子に座っていた私の前にしゃがみこんで目線を合わせた。
「それは、お前が殺したんじゃねえ。魔物が殺したんだ。兄貴もそれは分かってるはずだ。…それよりもっと悪ぃのはその正規ギルドの奴だろ」
まあ、オレらが言えたもんでもねえけど…と呟いてからまた私の頭を撫でた。髪をぐちゃぐちゃにされる。
そしてよっと立ち上がった。
「その紋章の特徴から大体正規ギルドの目安は立った。行くぞ」
「嫌だ……。行ってどうなるの?」
歩き始めるガジルは私が動かないのを見て溜息をついた。
そして私の両脇に手を差し込んで抱き上げられる。
ガジルの右肩にお尻を置かされてあまりの高さに私は彼の頭に抱きついた。
ガジルは私のそれを見てフッと笑った。
「足掴んでるから落ちねえよ」
右手で両足をホールドされている。
が、怖いものは怖い
「あの人達の顔を見たくないの!!」
ガジルの頭を掴みながら言うとガジルは私の足を赤ちゃんをあやす様に叩いた。
「ただ見に行くんじゃねえ。殺しに行く」
そう言われて息をのんだ。
…殺しに?それがお兄ちゃんの望み…?
私は黙ってガジルを見た。
ガジルも私の顔を見て前を向いて歩き始めた。
「…ここだ」
少し古びたギルドの前に降ろされた。
私が深呼吸したその時、
「鉄竜の咆哮!!!」
後ろから声が聞こえて直ぐに強い風と細かい刃が飛んできた。ギルドは前の方が削れて中が丸見えになる。
口を開けて後ろを振り返ると、ガジルはギヒッと笑ってこっちを見ていた。
「…ガジル凄い…!!かっこいい!!」
そう言って抱きつくとガジルは少し戸惑ってから私の頭に手を置いた。
「お前は弱いんだからオレの後ろで見てろ」
そしてガジルと私は壊れたギルドの中に入った。
中には5人ほどの魔道士がいた。
皆が怯えながらこっちを見ている。
「ど、どちら様で…?」
ガジルは後ろにいた私を前に押した。
「コイツつい最近見たことあるだろ」
「…!」
1人の男の人が顔を背ける。私はその人に言った。
「何で…、私達だったの…!」
青い顔の彼に涙を堪えながら叫ぶ。
「街の皆を…!返して!!」