第4章 ガジル 「どんな時も」
目が覚めて一番に見たのが、男の子の顔だった。
長髪の少し怖い顔の人。お兄ちゃんとは真反対。
「起きたか。お前ちょっと向こうの道に倒れてた」
私の街の方を指さして言う。
「あ…、う……」
貴方は誰?ここはどこ?お兄ちゃんは?
聞きたいことはいっぱいあるのに声が出ない。
「…ん?お前話せないのか?」
「んん…。あ」
コクコクと頷くと少し考えてから男の子はギヒッと笑った。
「そうか。オレの名前はガジルだ」
そう名乗ってから、
「起きたとこ悪いが今からオレはギルドに行く。お前は準備が出来次第好きに出ていけ」
と立ち上がってしまった。
「あ…っ!」
つい手を引いてしまう。
するとガジルは私の腕を掴んだ。
「…おい。この手邪魔だ」
私はガジルの手を握ったまま見つめる。
「着いてきてぇのか?」
コクコクと頷くとガジルはまたあの笑いを浮かべる。
「お前が倒れようが今度は助けねえからな」
着くまで何回もコケたけどほんとに助けはない。
お兄ちゃんなら…とか考えるけど私は首を振ってただガジルについて行った。
ギルドについて入った瞬間、一気に私たちに視線が集まった。
「おお、随分小さな女だな!」
大きい男の人達が声をかけてくる。ガジルは無視して通り過ぎた。
それについて行こうとすると怖い人達に肩を掴まれて止められる。
「お名前は〜?何歳でちゅか〜?」
馬鹿にしたような言い方にキッと睨むと男の人は私の頭を掴もうとした。
お兄ちゃんが撫でてくれた場所!!
「あ…うあ!!」
男の人の手を思いっ切り叩く。
すると彼らの表情は見る見るうちに怒りに満ちた。
あ…、ごめんなさい!そう言いたいのに言えない。
蹴られそうになった瞬間、鉄クズが男の人の頭に直撃した。当たりどころが悪かったのかそのまま倒れてしまう。
「着いてこいって言ったろ」
ガジルが私の服の首元を掴んで猫のようにお持ち上げてから2階に上がった。
「…ふん。ここまで着いてきたのは褒めてやる」
そう言ってガジルも私の頭を触ろうとしてきた。
「ん!」
腕を掴むとガジルは笑う。
「んだ、お前。頭触られたくねえのかヨ」
頷くとガジルもふーん…と頷いてから私の頭をぐしゃっと撫でた。
…!!なんで!!