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短編 フェアリーテイル

第3章 ラクサス 「想い出の歌」


「…カナタ!」


聞き覚えがある声が、聞こえた気がした。
…聞こえるはずがないのに。
妄想で聞こえてるのかな…。


「カナタ」


今度はもっと近くで聞こえた。
そして私の上に大きな影ができる。

手の震えが止まらなかった。


「会いたかった…!ラクサス…」


私は上を見て愛しいその人の顔を見る。


「...ああ」


そう言いながら私を立たせてくれる。


「待っててくれてありがとう」


「うん」


「…信じてくれていてありがとう」


「…うん」


「……俺の事、まだ好きか?」


少し声が震えているような気がする。
彼は私の腰に手を回して引き寄せる。


「…好き、大好き、愛してる…!」


そう言って抱きしめてラクサスの顔を見るとラクサスは嬉しそうに微笑んだ。


「……俺もだ」


……何年も待ってたのに…。これ?
頬をふくらませているとラクサスは私の頬をあの時のように両手で包んだ。

でも、目は閉じれなかった。
あの時みたいに居なくなるんじゃないかって怖かったから。


「…お前ムードねえな」


「しょうがないでしょ...、誰のせい?」


お互い少し笑ってからどちらともなく口付けをした。

心が満たされていくのが分かった。
いつの間にか周りが黒い羽から白い羽に変わっていく。

ラクサスは、薄く目を開いてからフッと鼻で笑ってもう一度角度を変えてキスをしてくる。
何度も、何度も、貪るようなキスをされて息ができなくなる。


「待って…ん…っ」


「待てねえ。どんだけ離れてたと思ってんだ。唯一愛した女とやっと会えたんだ。こんくらい許せ」


ラクサスの右手に両手を掴まれて私の頭の上に組まされる。
そしてラクサスの唇が私の首元へ行こうとしたとき、


「カナタ〜!!」


とナツやグレイの声が聞こえた。

皆、帰ってきたの!?

ラクサスはチッと舌打ちしてから私の手を離す。


「…俺の家の鍵だ。後で家教えるからお前もそこに住め」


「…は?」


呆然としていると後ろからいつの間にか後ろに来ていたカナが胸を揉んでくる。


「でかくなったねぇ…」


「何してんのよ!」


みんなの笑い声が空に響いた。




-𝑒𝑛𝑑--------
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