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短編 フェアリーテイル

第3章 ラクサス 「想い出の歌」


そして今、フェアリーテイルにはほとんど人が居なくなっていた。

7年前S級試験に皆が行った後消息不明になってしまった。
強い人や人気があった人たちがほとんど皆居なくなったフェアリーテイルにもう目を向ける人はいない。

私はもう24歳、皆は今…生きてたら…。
私はあれから良いか悪いか人を不安にさせることも出来てしまうようになった。
戦えるけど…私の心が綺麗じゃなくなった今、幸せにする羽の効力は弱まってしまった。
それどころかここ最近は制御できなくなって所構わず人を不安にさせてしまうようになった。


そんな私は1人でマグノリア1高い山に登ってフェアリーテイルとは反対の方を見ていた。


「…カナ」


頭の中で今のカナを想像してみる。
絶対に酒豪は治ってないよね。
S級にはなれたかな?
申し訳なさそうにルーシィを選んだ貴方に私は微笑んで言った。


「私も追いつけるように頑張る!」


それなのに目標がもう居ないではないか。


「マスター…ギルダーツ、グレイ、ナツ、エルザ…ミラ、エルフマン、リサーナ…レビィ、ルーシィ、ガジル…ジュビア、ウェンディ…、フリード、エバ、ビッグスロー」


指を折りながら名前を呼ぶ。
…皆、どこに行ったの?私たちは貴方たちが居ないフェアリーテイルをどうやって守ればいいの?

いつの間に涙が溢れて止まらなくなっていた。そんな時は決まってあの曲を聴く。


「私の愛しい、宝物…」


そう呟いているといつの間にか真っ黒の羽が私の上に何枚も何枚も降り始めた。

また、制御出来なくなったのか。
私にはなんでこんなことも出来ないの。
ギルドの皆はもう前を見ているというのになんで私はずっと後ろを見ているの。
もう皆は戻ってこないんじゃないの?
生きてても...皆私たちを忘れた?


「…もー、嫌い。全部嫌い…!!全部全部嫌い!!」


私は全力で叫び始める。
そんなことを思う私にも腹が立った。


「死んじゃえ!!私なんか死んじゃえ……!」


泣きながら私は座り込んで火傷跡が残った右手を左手で包み込んだ。


「…ラクサス…、会いたいよ…っ!」


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