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短編 フェアリーテイル

第3章 ラクサス 「想い出の歌」


昔からマグノリアの皆とも仲が良かった私はパレードで1つのフロート車を使えることになっていた。

自分が用意していたフロート車にさらに手を加えた。あと少ししか時間がない。
私はあるラクリマを複製してから台の周りを1周ぐるりと貼り付けた。


「マスター…!これ、ダメ?」


フロート車を見たマスターは首を捻って唸ったが渋々頷いてくれた。


「まあ、怒られた時はワシがおる!」


「ありがとう!マスター!」


その後また考えて頭を抱えているマスターに気づかないまま収穫祭のパレードは始まった。




皆がどんどん街に出ていく間、私はフーッと深呼吸した。
歓声が聞こえて、フロート車が動き出す。

…見ててね、ラクサス。


グンッと前に進む勢いに耐えるため足にグッと力を込めて立つ。
群衆が見えてきた瞬間、私は手を広げた。

それを合図にフロート車のラクリマから『my dear treasure』が流れ始める。

祭りの曲調とはまた違う曲に皆がシン…と静まり返った。

私の魔法は…皆の心を満たすこと。
だから、戦うことはできないけれど癒しに…。

空から白、空色、桃色、翡翠色、紫色、黄色…淡い色の羽が降り出す。

人に当たる度、消えていく。
消えていく度、皆の顔に笑顔が増える。


「カナタちゃーん!今日もありがとう!」

「カナタちゃん!可愛い〜!!」

「フェアリーテイル最高〜!!」


静まり返った皆が一変してはしゃぎ始めた。
今日ばかりは皆幸せでいて。

これから何が起こるか分からないけれど
私がいる限りずっと癒してあげる
だから、また私に逢いに来て

ラクサス


その時、ウォーレンの合図が聞こえた。
皆が一斉に親指を伸ばして人差し指を掲げた。


見てる?ラクサス
皆これからも貴方のことを見てる
貴方のことを待ってるから
いつかまた、戻ってきてね


観客からの歓声が上がって羽はまた皆を癒していった。




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