第3章 ラクサス 「想い出の歌」
「俺が、心配?…はっ、何言ってんだお前」
嘲るように笑う彼はバチバチと雷を纏って今にもどこかへ行ってしまいそうな雰囲気があった。
「行かないで…!」
ラクサスの手を掴む、が電流が私の体に走って倒れ込んでしまった。
「っ…、馬鹿が!お前、手が…!」
ラクサスに触れた右手が赤く火傷していた。
「手、なんか…いい!ラクサス、貴方を1人にしたくないの…!!」
ラクサスは私を悲しそうに抱き抱えて壁にもたれさせた。そして両手で私の右手を包む。
「なんで…今そんな事…。お前は俺が嫌いなんだろ」
「嫌いなわけ無いじゃん…!あの時、誤解解かなかったの悪いけど…、でも、嫌いな訳がないの!」
ラクサスの目が少し泳ぎ始めた。
「…でも、俺はこの計画をやめねえ」
そう言って手を離される。
「…ラクサス、私も、一緒に堕ちたい」
私が呟くとグッと肩を掴まれた。
「何言ってんだ…!冗談でも言ってんじゃねえ!!……お前を巻き込むつもりもない」
すごい剣幕で捲し立てられる。
私も一瞬自分で何を言ってるんだろうと思った。
フェアリーテイルの皆を捨てるなんてできないのに。
でも、家族の皆よりラクサスを優先したい自分がいた。
「ごめん…。ラクサス……」
そう言ってから私はラクサスに抱きついた。私から離れようとするからもっと力を入れて抱きついた。
「ミラの代わりにはなれないけど…、ラクサスにはわかんないくらい私ラクサスの事が好きなの…!!」
少し止まって彼の手が私の肩から頬に上がった。そしてむにっと引っ張られる。
「…お前はどんな時でも正直なやつだな。…そんでなんでミラだよ」
はぁ?と首を傾げる彼に私は下を向いて話す。
「だってミラのこと名前で呼んでたもん…」
「……あ?そんな事で俺ら…」
「そんなことって…!」
苦笑いをするラクサスが私にデコピンする。
「俺はミラの事は好きじゃねえ。…名前を呼んでないのは、悪かった」
「…えええ!?ミラの事好きじゃなかったの…?」
驚いて声を張り上げてしまう私の頭を彼は強く撫でた。
「…ああ。もっと早く話したかった。ならもっと一緒にいれたのにな」
私の顔にラクサスの顔がゆっくり近づいてくる。慌てて目を瞑った。
その瞬間体中に電流が走った。