第3章 ラクサス 「想い出の歌」
グレイが来てあまり間があかない頃にミラ達がやってきた。
…気に食わない。
私はラクサスに話しかけるまで数ヶ月かかったのにミラは気軽に話しかけている。
ラクサスもなんだかんだ言いながら逃げるような素振りは一切しない。
「……ラクサス」
モヤモヤを晴らしたくて声をかけに行く。でも、今日もミラとラクサスが言い争いをしている。
「ラクサスちゃーん♪」
「うぜえんだよ、ミラ。…おい、どうした?」
ミラは名前で呼ばれてる。私は今まで名前で呼んでもらったことはなかった。
良いな。なんで私とは違う?
「…なんでもない」
「嘘つけ。何か言いに来たんだろ?」
ラクサスはミラの髪を掴んでた手で私の腕を掴んでこようとする。
しかし私はその手を強く払い除けてしまった。
「…あ゛?何してんだお前?」
「ごめ、」
「カナタも腹立つことくらいあるよな〜!ラクサス、お前嫌われてやんの」
ミラが私と肩を組みながら言った。
その言葉にラクサスは目を開いた。
「…そうかよ」
顔を逸らしてギルドの外へ出ていってしまった。
「もー、アンタこっち来な!」
カナがミラの手を掴んでグレイたちの方に行かせた。
「アンタ行かなくて良いのかい?」
いつから私の気に気づいていたのだろう。
でも私はその問いかけに悩んだ末行かないことにした。
だってミラのことが好きとか分かってしまったらもっといつも通りに出来なくなってしまうから。
「…ふー、カナタはほんと考えすぎなんだよ」
アンタ損しやすいタイプ、と笑いながら頭を撫でられる
自分でもそんな気がする。
「カナは百発百中の占い師になれるね」
「そりゃ最高の褒め言葉だ」
カナは豪快に笑いながら私を皆の元へと連れていった。
あの後から私達の関係はどこかぎこちないものになっていった。
私から話しかけるのも少なくなってきて、ラクサスが皆の所で音楽を聴いているのも少なくなっていた。
そして、時は進む。