第2章 グレイ 「多分貴方のこと」
その瞬間周りの男の人たちは一瞬で氷漬けにされた。私はゆっくりと振り返る。
「...グレイ?」
案の定ムスッとした顔のグレイが立っていた。
「ありがと。この人達今日は出禁にしてもらうね?」
とりあえずそう言って歩き出すとグレイも私の後ろに着いてきた。
「...ん?どうしたの?」
「良いから。早く用事すませろよ」
...?オーナーさんのもとへ行くまでに何人かの男の人に声をかけられたがグレイの睨みで逃げてしまう。
心配してくれてるのかな。オーナーさんに話をすると今日はもう上がって良いと言われた。
スタッフルームから出て走って彼の元へ行く。
「グレイ!助けてくれてありがとう!」
駆け寄ると突然大きなタオルで体を包まれる。
「...グレイ?」
「ずっとそれでいろ」
そう言って前を歩き始めた。ミラは褒めてくれたけどこの格好酷かったのか。
「...うん。ごめん」
恥ずかしくなって下を向く。するとグレイが更なる追い討ちをかけてきた。
「好きな奴居んなら普通そんな格好しねえだろ」
突然冷たく言い離された。
「...これは仕事だって」
「でも言えば他のもあったんじゃねえ?」
グッと喉がしまった。確かにそうだ。バカすぎた。下を向いていると涙が零れそうになる。
「それは、そうかもだけど...グレイに会いに来るために引き受けた仕事だから...」
逆ギレに似たようなことを言ってしまっている。それにグレイは歩みを止めてこっちを見た。
「普通に会いに来たら良かっただろ」
「何も無いのに来たらキモイかなって思ったの!」
「だからってそんな格好してんじゃねえよ!」
「だから仕事だもん!それにグレイだっていつも同じみたいなものでしょ!!」
「男と女は違ぇだろ!?」
言い争いをしているとラクサスが止めに来た。
「お前ら目立ちすぎだ。ちょっと頭冷やせ。」
そして私たちの背中を強く叩いてプールサイドまで連れていく。
「グレイ様〜!遅いから心配したんですよ!」
グレイを探していたジュビアちゃんが駆けてくる。
「グレイだって約束破ってるじゃん...」
ほんとは知ってた。
マグノリアだけじゃなく剣咬の虎の周りでもよく噂を耳にした。
『グレイとジュビアが付き合ってる』って。