第2章 グレイ 「多分貴方のこと」
「リリス!...可愛い格好してるじゃない!」
ミラが私に抱きついてくる。私は少し照れながら笑う。
「ミラこそ可愛いよ!...てか、着たくて着てるわけじゃないけど...」
「こんな際どいの着てちゃ狙われるわよ?」
全然話を聞いてくれないミラさんにルーシィも私の水着の腰紐を指で引っ掛けて笑っている
「セクシーね!どこの?」
「これもクエストの!あ、ねえ、仕事終わったら合流していい?」
「良いぞ!待ってる!」
いつの間にか横にいたナツは手を上げて走りさってしまった。グレイは少し私の格好を見てからナツの後ろを着いていった。
「...あれ?何で声掛けてくれなかったんだろ...」
よく考えたらいつも私からだった。あれ、一方的な恋だと思ったけど一方的すぎ?
そんなことが頭の中をグルグル回っていて仕事が全然手につかなくなっていく。
たまにグレイが目に入るけどジュビアちゃんが一緒に居て、しかもあんなにひっついて...。
その光景を目で追いながらワインを運んでいると誰かにぶつかった。
「ごめんなさい!」
目を開けるととても屈強な男の人たちに囲まれていた。衝撃で運んでいたワインが体にかかったらしい。
「あ、の...これ!タオルです!」
そう言って掛けていたエナメルバッグからタオルを取り出すが肩をグッと押されてしまった。
「自分で拭けって言うのか?」
いや、男の人の肌なんか拭けるわけないでしょ。
少しイラッとしたがここは一般人の人が多いから魔法は使えない。
「ちょっと...緊張しちゃうっていうか...」
はは...と笑っていると1人の人が言った。
「あれ、この子剣咬の虎のカナタじゃね?給料少ないの?俺らが金あげよっか?...いい事してくれるなら」
...剣咬の虎をバカにしてるのか。抑えていた怒りが溢れて顬がピクピクと痙攣しだす。
「いや〜...お兄さん達はやだな〜?私お金でどうにかなるって言う考えの人大っ嫌い」
満面の笑顔でそう言うと後ろに居た男に両腕を掴まれた。そして前の男に殴られそうになって目を瞑る。