第24章 ジェラール 「プレゼント」
シーナさん…クリスマスの魔法、まだ叶ってないですよ…。懐かしい思い出に微笑む。
シーナさんは天で好きな人と会えたのかな。
イブの夜だと言うのに私は一人寂しく料理を食べている。雪が降る街を窓から見ていると急にフード姿の人影が現れた。
「……!誰……!?」
人影は2つあり、コンコンと窓を叩いてくる。
寒いから中に入りたいのかと思って窓を開けると2人は何か大きいプレゼントボックスのようなものを重たそうに運んでくる。
「あー、寒い…。入れてくれてありがと!」
「……えっと、誰…?それは何?」
首を傾げると2人はフードを外した。
1人はピンク髪の可愛らしい女性、もう1人は黒髪の大人っぽい女性がこちらを見ていた。
「驚かせてごめんなさいね。私はウルティア。こっちはメルディ。…これは、貴方へのプレゼントよ」
ウルティアと名乗る大人びた女性はプレゼントボックスを叩く。するとメルディという女性も微笑む。
……聞き覚えがある声だ。…もしかして
「…ジェラール…の、仲間の方達…?」
そう聞くと2人はニッと微笑んでお互いの顔を見ている。そしてメルさんは私に箱を差し出した。
「さ、開けて!カナタさん!」
そう促されてワクワクこっちを見るメルディさんの視線を感じながら箱を開けると、眠りについているジェラールが中に入っていた。
「…えっ、……ジェラール?」
私が驚いてそう言ってもジェラールは起きない。メルはそれを見て微笑んだ。
「カナタさん、私たちからのプレゼントだよ!」
大層なプレゼントを頂いて…。
二人の満面な笑みに私もつい微笑む。
「あ、ありがとう…ございます」
「いいえ。申し訳ないけど、明日の昼には迎えに来るわ。時間が少なくてごめんなさいね」
ウルティアさんは私に微笑みかけてからメルディさんの手を引っ張ってもう一度窓の外に出ていった。
……別にそこから帰らなくても。
苦笑いをしながら窓の外を見ると2人で街の中央に向かっているのが見えた。
とりあえず、ジェラールをどうにかしなきゃ。
プレゼントボックスの中でぐっすりと眠っているジェラールの頬を撫でる。
「……ジェラール。…寝顔変わんないね」
私はそう呟いてジェラールをプレゼントボックスから引きずり出す。