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短編 フェアリーテイル

第23章 ゼレフ「約束」


「死んじゃうって…。何があったんですか?」


バルゴが首を傾げながら聞いてくる。私はプルを抱きながら答えた。


「ゼレフって言う友達が何かおかしくなっちゃって、…その子から出た黒い波が襲ってきたの」


「プーン…」


プルがアレを思い出したのか私の顔に鼻を擦りつけてくる。私は安心させるようにより1層強くプルを抱きしめた。


「ていうか私、戻ったら死んでるのかな」


意識だけがここに来ている場合私の体は消滅しきっている事になるのだろう。
私が皆の顔を見ながら聞くとレオが私の顔を見ながら聞いてきた。


「アンタ、死んでるかもしれないのに怖くないのか?何でそんな笑顔でいれるんだ」


少し眉をひそめて聞いてくる彼に私も悩んだ。
何でだろう。ゼレフに殺されるなら嫌じゃないと思える。

……ゼレフは今大丈夫なのかな。優しいからな。
ちょっとは悲しんでくれてるかな。


「ゼレフだからかな」


私が笑ってそう言うと彼は目を見開いた。アクエリアスは少し優しく微笑んだ。

すると空からよく響く声が聞こえてきた。


《レオよ。怖がらせるな》


誰…?
声の方を見てみるとカッコイイ髭を生やした鎧を纏う大きい人がいた。つい口をぽかんと開けてしまう。


《小娘、心配するな。お前は死んでいない。ここには余が連れてきたのだ》


私の方に顔を向ける彼に私はつい頭を下げた。
威厳がある人、な気がする。


「初めまして、カナタです。助けてくれてありがとうございました!」


精一杯の笑顔で言うと彼もニッと笑い、私を見つめながら言った。


《初めまして、では無い。余はお前をこの世界から見ていた》


「……見ていた、ですか?」


私は繰り返し聞く。星霊の皆も驚いた表情で私を見ていた。


《ああ、お前は毎夜願い事をしていただろう。『黄道十二宮の星霊に会いたい。見てみたい。』と》


「それだけで連れてきたのですか…」


レオが呟くと彼は笑った。


《それだけでは無い。星霊について毎日のように調べており、其の仔犬座の者にも名前をつけて毎日触れ合っていたのも知っている。……何より余が1度、お前と話がしてみたかった》


彼の言葉に私は唖然とする。こんな凄そうな人に名誉すぎる事を言われた。何より、彼のおかげで星霊の皆に会えたんだ。


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