第23章 ゼレフ「約束」
「そう。話は戻るんだけど、僕、違う次元に繋がる門を作りたいんだ。……カナタも手伝ってくれない?」
そう言われて私は首を傾げた。
私なんかゼレフとは比べ物にならないくらいの脳しか持ってないのにそんな偉大な物作れない。
「作りたい…けど、私役に立てないよ?」
笑ってそう言うとゼレフは私の肩を軽く叩いた。
「そんな事言わないで。僕、カナタがくれる質問が解決の鍵になったこと、何回もあったんだよ。……それに、僕たちがその門を作れた時にはさ、一緒に未来を見てみたくない?」
そう言われて私はつい頬を赤らめてしまう。
彼がこんなに言ってくれるのならやりたい。
ていうかプロポーズみたいでかっこよかったな。
「……今のってずっと一緒にいてくれるって言う約束でいい?プロポーズ?」
ニコニコしながら率直に聞いてみるとゼレフはみるみるうちに顔を真っ赤にして本で隠してしまった。
私はゼレフのすぐ横にひっつく。
「嬉しかったのになぁ〜…違かった?」
彼の肩に頭を置くも無言のまま。
追い打ちをかけたくてしてみたけど照れすぎていてこっちまで恥ずかしくなる。
「なんて…、冗談!」
無言の空間が気まずすぎて笑って立ち上がる。
彼は本に顔を突っ伏したまま私の手を引いた。
「…そう言う冗談言わないで。分かんない」
そう言われて振り返ると少し怒ったような表情で目を潤ませる彼と目が合った。
……冗談じゃなかったけど。
ていうか何この反応……可愛すぎる。
お互い目が合ったまま何故か手を離す事が出来なくてまた沈黙が走ってしまう。
すると教授が部屋に入ってきた。
「おい、アマリリス。あまりゼレフ様の邪魔をするな。黒魔法の研究は私たちにとって大切なものなのだ」
私の声が聞こえたから摘み出しに来たようだ。
私は素直に頷いて出ていく。
いつもは駄々をこねる私に驚く教授と少し手を伸ばしたままのぜレフを後に私は自分の部屋へ入った。