第22章 ミッドナイト 「家族になる為」
「…ボクは家族だと思ってた、けど。いつも帰ってきたら『おかえり』って言ってくれるしご飯も用意してくれる。それに、笑顔で迎えてくれるだろ」
真っ直ぐ見つめられながら言われる。
それじゃあまるで、
「私お母さんみたいですね」
私はニッコリ笑顔で返す。
…私がミッドナイト様の事を特別視してただけでミッドナイト様は私をあの頃と変わらないように思っているらしい。
「ミッドナイト様の様な年齢のお子さんはほとんどお母さんと一緒になんて寝ません」
握られる手を軽く振りほどいた。
ミッドナイト様は自分のその手を見つめてから私の顔色を伺うように見た。
「なんで怒る?」
「怒ってません。もう夜も遅いし寝ましょう」
首を傾げるミッドナイト様に笑顔で頭を下げてから布団を持ってリビングに出ていった。
布団に入って頭が冷えてくる。
今さっきのミッドナイト様は悪気がなかった。
ていうか私が自分勝手過ぎた。
明日、謝ろう。
……いつもよりぐっすり寝れた気がする。
ボーッとする頭を働かせようと目を開けると私の横で眠るミッドナイト様が居た。
「え……?」
「すぅ……」
気持ちよさそうに寝息を立てて寝ている。
私はゆっくりと布団から立ち上がった。
するといきなり手を掴まれる。
「うぁっ。…と、驚かせないでください。」
「……昨日怒らせたの、悪い。ボクはカナタの事はお母さんだなんて思ったことない」
目を開けて私を下から見上げる彼。
私は昨日の事を勘違いしてた事に気づいて赤らむ顔を布団に潜り込んで隠す。
「…こっちこそすみません。昨日は何だか気が立っちゃってたみたいで。八つ当たりです」
小さく謝ると彼は何も言わない。
不安になって布団から顔を出すと目の前にミッドナイト様の顔が。
「えっ…」
「あ」
そう言った瞬間軽く唇にキスをされる。
頭の中は完全にパニック。
「んぇ…?ミッドナイト様、待って……!!」
「マクベス」
「へ?」
布団を握りしめながら聞き返すと彼は目を瞑りながらもう一度言った。
「マクベス。ボクの本当の名前」
「……え?」
「呼べ」
見つめられて私は小声で呟く。
「マクベス、様…」
「…ん」