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短編 フェアリーテイル

第22章 ミッドナイト 「家族になる為」


お風呂から上がってリビングに出ると椅子に座って目を閉じているミッドナイト様が。
ご飯にもまだ手をつけていない。

……え、寝ちゃったの?


「ミッドナイト様…?ご飯無理して食べなくても良いんですよ。寝ますか?」


声をかけるとパチッと目を開ける彼。
そしてフォークを手に取った。


「…待ってた。カナタと一緒に食べるから」


手を合わせてご飯を食べ始める彼。
私も驚きながらとりあえず手を合わせる。

いつもこんな事言わないのに急にどうしてしまったんだろうか。
何だか恥ずかしくなってしまう。


ミッドナイト様は全て完食してくれた。
手を合わせて小さく


「美味しかった」


と言う彼に私は微笑む。
試作品だけど私的にも上手くいった。
レストランに案を提出しよう、と考えながら私はミッドナイト様に言う。


「お粗末様です。先に寝ちゃってください」


皿を受け取って洗いに行く。
彼は歯を磨いてすぐに寝室に向かった。

私も皿を洗い終えて歯を磨く。
スキンケアをして布団をひいて…。

リビングの隅を見渡すけど布団が無い。
あれ?布団出さなかったっけ。

寝室に失礼して布団だけ持ってこよう。


「…失礼します」


ベッドの上で丸まって眠る彼。
リラックスしてくれてるのかな。
棚を開けて布団を引きずり出すと肩を叩かれた。


「ひぁっ!?…あ、ごめんなさい」


冷たい感覚に振り返ると寝ぼけ眼で私の顔を見つめながら手をひいてくる。


「ボク、せっかく布団しまったのに…。また出すのか?何で今日は一緒に寝ないんだ?」


小さくそう聞かれて私は微笑んで答えた。


「いつもは2人っきりじゃないですからね。私がドキドキしちゃうじゃないですか」


笑いながら冗談めかして言ってみる。


「…ボクの事怖い?」


「いや、そうじゃなくて」


ウトウトしながら首を傾げて聞いてくる彼に私は慌てて否定する。
すると私の手を握る彼の力が強くなった。


「ほんとの家族は一緒に寝たりするって。この前行った街の人達に聞いた。だから一緒に寝よ」


「いやいや、家族じゃないですから」


「え…」


「え…………?」


お互い目を見つめ合って沈黙が流れる。
え?私たち家族じゃないよね。
おかしい事言ってないよね?



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