第22章 ミッドナイト 「家族になる為」
あれから定期的にどこかに行っては帰ってくるミッドナイト様達。
仕事を終えて料理を模索しているとドアがノックされる。覗き穴を覗くとどこを見ているか分からないミッドナイト様の顔が見えた。
急いでドアを開ける。
「おかえりなさい…!」
「……ただいま」
小さくつぶやく彼に私は微笑む
少し前からミッドナイト様が『ただいま』と言うようになったので自然と私も『おかえりなさい』と返すようになっている。
ミッドナイト様は被ったローブを外して荷物をいつもの位置に下ろした。
「あれ…。今日はミッドナイト様だけですか?エンジェル様やコブラ様は……」
「居ない。ボクだけじゃ駄目なのか?」
ミッドナイト様は眠たそうに目を擦る。
私は全力で首を横に振った。
「いえ、嬉しいです。お風呂沸かしてありますから先にどうぞ」
眠いから嫌だと駄々をこねるミッドナイト様の背中を押しながら言う。彼が浴室に入る前に聞かなければならない事を思い出す。
「ご飯!どうしますか?食べてきました?」
すでに上裸になっていた彼は扉から少し顔を出して
「いる」
とだけ言って入っていった。
私は頷いてからさっきの料理を完成させる。
…試作だから美味しいかは分からないけど早く寝かせてあげたいから我慢してもらおう。
寝室に行って布団を出しに行く。
ミッドナイト様にはベッドで寝てもらって私はリビングに布団敷いて寝よう。
いつもなら男女2人ずつ居るから雑魚寝しちゃってるけど2人っきりだからそんな訳にはいかない。
リビングの隅に布団を置くと浴室のドアが開く音が聞こえた。
早、カラスの行水じゃん。
髪を吹いていないままこっちに来る。
「……乾かしてくれ」
「はい。座ってください」
私はミッドナイト様が持ってくるタオルとドライヤーを受けとってクッションの上に座らせた。
彼の固めのしっかりした髪を撫でながら乾かしていると少しづつ体が傾いていっている。
私は笑いながらミッドナイト様の肩を叩くと目を薄く開いてこっちを見てきた。
「…ん」
「乾きましたよ。先にご飯食べて寝ちゃっててください。私はお風呂に入ってきます」
「んー……」
そう言ってゆっくり立ち上がるミッドナイト様を見て私もお風呂に向かった。