第2章 グレイ 「多分貴方のこと」
「アイスメイク...砲撃!!」
私に間髪入れづに大きな石が飛んできた。
「岩人形...、守!!」
地面から大きな岩の人形が出てきて手で守ってくれる。
「チッ」
舌打ちをして間合いを詰めてくる。いつの間にか床が氷の床に変わっていて彼がものすごいスピードでこっちに来る。
私の魔法には少々時間が掛かることにもう気づいたらしい。
「っ...!」
急いで彼の前に上り坂を作った。すると彼は凄い勢いで空に飛んでいく。少し安心するのも束の間彼が飛んでいった方向から無数の矢が飛んできた。
後ろに下がりながら彼との間に幾つもの壁を作る。
「岩人形・クローン...」
そう呟くと私そっくりな外見の少し大きめな岩人形ができる。
壁を破ってくる音が聞こえてくるのと同時に私は指を壁に向けて鉄砲の形にした。
「クローン・岩鉄砲!!」
私が指を上にあげた数秒経ったあと岩人形から大きい岩が飛んで行った。
そして、その岩が壁ではない何かとぶつかる音が聞こえた。
彼とその岩がぶつかったのだ。
遠くに頭から血を流す彼が見えた。
早く、決着をつけてしまいたい。
優しくしてくれた彼の苦しむ顔を見たくない。
その一心で手を上げてからバッと下ろした。
「奥義...!岩雪崩!!!」
彼の上に幾つもの刺々しい岩が降り注ぐ。彼は上を見上げたまま下敷きになった。
アナウンスの声が聞こえる。
「剣咬の虎、カナタ...!勝利か...!?」
その声にホッとした瞬間後ろから耳が割れんばかりの爆音がした。
「何っ!?」
振り返ったときにはもう遅かった。
「戦神槍!!!」
大きな槍が私のおなかを貫いた。
「そ、んな......」
私の体が言うことを聞かずに崩れ落ちた。