第2章 グレイ 「多分貴方のこと」
ギルドのこともユキノのことも気になっていたが時は進むもの。
遂に最終決戦、5人総出のバトルになる。
随分休んだから今度はちゃんと戦えるかも...!
「足引っ張んなよ」とスティングに声をかけられるがそんな事を気にしないように私は会場に出た。
妖精の尻尾の所にはあの日私を助けてくれた人もいて、密かにあの人の事を目で追ってしまっていた。
あっちは私には気づいてないだろうけど...。
あの人の横には可愛い女の子がベタベタとくっついていて仲が良さそうに見えた。
良いなぁ...私も妖精の尻尾の一員なら...、って何馬鹿みたいなこと考えてるんだろう。
気を引きしめるためにバシッと頬を叩くとローグが不思議そうな目で私を見てきた。
そして、最終決戦がスタートした
次々と脱落者が出てくる中、私はまだ生きている...!
私達のギルドは誰も落ちていない。するとミネルバが前を向いたまま話し出した。
「ここで別れる。オルガはあっち。カナタはあっちに行け。」
とオルガと私に指示が下る。
皆と離れるのは少し不安だったけど今度こそ良いところを見せたい!そう思って私はミネルバに指示された方向へと走っていった。
そこで見つけたのは、あの人だった。
「そんな...」
絶望に小さく呟く、が私には私の義務がある。
後ろに隠れながら様子を伺っていると一瞬の隙が空いた。
そのとき、私は彼に狙いを定めた。
「石一鶴!!」
岩の造形魔法を使える私は先端が尖った槍のような鳥を彼に向けて放した。
「盾!!」
あと少しのところで貫けたのに...。顔を見せずに終わらせられたのに!
「あっぶね...誰だ?隠れてねえで...出て来やがれ!」
隠れていた岩が氷のハンマーで壊された。散っていく岩の破片と共に彼の顔が見える。
「あ...?お前...」
少し目を開いて私を見る貴方。こんな所で出会いたくはなかったのに。
「...ごめんなさい。あの時、冷たく当たって」
少し離れた位置にいる彼に言った。
「...いや、何となく事情がありそうだったし。気にしてねえよ」
頭をかきながら少し私から顔を背けた
「...でも、あの時とはもう違う。お前も俺もピンピンしてんだからな」
ゆっくりと私の顔を見る。その顔は見惚れるほどかっこよかった。