第20章 スティング 「早く俺のモンに」
彼にはお風呂に入っていてもらって近くの店で上下スウェットを買ってくる。
…下着もいるよね?
少し恥ずかしいけど買っておこう。
家に帰ってドアの隙間からコソッと渡すと中からスティング君が笑う。
「全然見ても良いんすよ?」
その言葉をスルーしていると「ちぇっ」と少し拗ねた様子でスティング君は浴室から出てくる。
その後ご飯を食べて寝る準備を始めた。
ベッドを見ながら私は呟く。
「…スティング君はベッドを使って、私はどうしよう?どこで寝ようか」
するとスティング君は私に後ろから抱きついて耳元で囁くように言った。
「…一緒に寝て?」
くっ、コイツ…自分がかっこいい事分かってるからこんなこと言えるんだ。
私が葛藤していると彼は私の肩を軽く押してゆっくりとベッドに倒した。
私の横に寝転がる彼。
彼と壁に挟まれて逃げ場がない。
真っ赤な顔を隠そうとすると、その両手を恋人繋ぎで握られる。
スティング君は私たちの繋いだ手を見て嬉しそうに微笑んでから自分の頬に擦り寄せている。
…これはマズい。
何か流されそうな雰囲気に抗うために私は話す。
「そういえばさ、私スティング君に相談が…」
「何?」
スティング君は私の手に軽く口付けている。
私の目を見ながら聞いてきた。
「アルの結婚式に着いてきてくれないかな?」
私がそう言うとスティング君の目の色が変わる。そして私の手をギュッと握った。
「このムードで他の男の話?」
私も負けじと言い返す。
「だって元はこの話がしたくてここにスティング君を呼んだんだもん」
スティング君は少しムッとした顔をしてからゆっくりと頷いた。
「…っすよね」
そう言ってパッと表情を切り替えた彼。
そして笑顔で了承してくれる。
「良いっすよ。俺も行きます」
「ほんと…?良かった」
機嫌を直してくれた事に対してものお礼だ。
微笑むとスティング君もニッコニコの笑顔で急に私の顔を両手で挟んだ。
ん?
首を傾げるとスティング君は私にキスをする。
…マズい。また呑まれてる。