第19章 ミストガン 「君ならいつも」
「ミストガンに?…でも会ったことないんじゃ…」
心配するルーシィに私は首を縦に振る。
「うん。知らない。でも大丈夫な気がする」
何の根拠もないままそう言うとルーシィは少し黙ってからニコッと笑った。
「何よその自信!…カナタ。私達の世界に戻ったらもう1回会いたいな」
「……会えるよ。きっと!だって私、帰ってから妖精の尻尾の皆と手合わせしてもらうもん」
「…そうね。つくづくナツにそっくりね!」
そう言ってルーシィは私が来た方向に走っていく。彼女に手を振った後私も前に進み出した。
またまたまた、騒がしいところにつく。
入っては行けないような神聖な雰囲気の場所だったけど問答無用で侵入する。
中に進むとムキムキの熊みたいな猫みたいなのが誰かと揉めているのが見えた。
ポン、と肩に手を置くと体が熊の方に浮くのが分かった。背負い投げをされたらしい。
地面に強くぶつけられる、が受け身を取ったおかげで幾分か衝撃が軽減された。
「っ…。いきなりやめてよ」
そう言って起き上がって熊の顔を見ると後ろから声が聞こえた。
「…カナタ?」
その声を聞いて私はゆっくりと振り返る。
そこには私が今まで探し続けていた人がいた。
「……ジェラール?」
「本当に、カナタ…。なんで君まで…」
驚いた顔をする彼。私は不思議と思っていたより落ち着いていた。
熊は私とジェラールの顔を交互に見る。
「あの、知り合いですか…?」
「ああ、すまない。リリー、カナタだ。あっちの世界でちょっと一緒にいた子だ。カナタ、リリーだ。この世界で俺に良くしてくれる奴だ」
軽く頭を下げるとリリーと言われたあの熊も頭を下げた。そしてジェラールは私の顔を見る。
「カナタ、ごめん。今は時間が無いから色々説明はできないんだ。とにかく安全な所へ行っておいてほしい」
そう言われて私は咄嗟にジェラールの腕を掴む。
「…やだ。私だって役に立てるでしょ」
「カナタ…。……良い子だから言うことを聞いて」
ジェラールは困ったように私の頭を撫でる。
すると遠くから1人、甲冑を着た男が走ってきた。