第19章 ミストガン 「君ならいつも」
「見ろ!!ウェンディがもう一人いる!!」
騒ぎながら言う彼に私たちは何を言ってるんだと振り返った。でも、そこに居たのは彼女とそっくりの、でもどこか様子がおかしいウェンディが居た。
「…どういう事?」
「……私あんなに胸大きくないです」
「いやそこ?」
悔しそうに呟くウェンディにつっこむ。またまたナツの声が聞こえる。
「おい!グレイも居るー!」
そっちを見るとマフラーやらコートやらで着膨れしたグレイのような男が立っていた。…彼は暑がりだと思っていたんだけど。
ウェンディを見ると口をあんぐり開けていた。やっぱり間違ってなかったらしい。
「…なんかさっきからあっちの世界と反対の人間みたいなのがいるよね」
そう言うとナツとウェンディは私を見る。そして2人ともそれに同意した。
「ああ、なんか気持ち悪ぃ」
「ですね」
するとルーシィがナツ達に話しかけた。その隙に私は一足先にこのギルドを出てエルザ達を探しに行くことにする。
しばらく歩くとまたまた騒がしい場所についた。そこには不思議な魔法を使う金髪の女の子が居た。
「…あ、ルーシィ!?」
「え!……誰?」
彼女は勢い良く振り返ってから首を傾げた。
…もしかして私達が居た方のルーシィ?
「えっと、私はこの世界じゃない方から来たの。エルザ達に妖精の尻尾に誘われて着いて行ったら急に揺れて、ここに来た」
そう言うとルーシィは私の腕を掴んだ。
「良かったぁ!心細かったの!…エルザ達はこっちで見た?えぇと…」
「カナタ。エルザは見てないけどナツとウェンディはこっちの世界の妖精の尻尾にいたよ」
そう言うとルーシィは驚いている。
「こっちの世界にも妖精の尻尾が?…あ、そう言えばミストガンがこれくれたの。カナタもいる?」
そう言って手渡してくれたのはこの世界でも魔法が使えるようになるらしい物。
しかし私はそれを受け取らずに微笑んだ。
「いや、良い。私より他の人にあげて!これでも結構強いんだ。素手で熊倒すくらいには」
「くらいにはって…強すぎじゃない」
と苦笑いを浮かべながらルーシィは聞いてくる。
「で、カナタはこれからどうする?」
私は少し考えてから言った。
「そのミストガン?に会いに行く」