第19章 ミストガン 「君ならいつも」
私たちの間に沈黙がはしる。すると上裸の人の後ろから赤毛の女の人が現れた。
「彼女の言う通りだ。私はエルザだ。こっちはグレイ。そこに倒れている男と猫がナツとハッピーだ」
ゆっくりと両手を挙げながら近づいてくる彼女。
私は毒を纏ったまま話す。
「攻撃しないって約束しない限りこの人たちの解毒はしないからね?」
「それは困る。こちらは攻撃するつもりはないから、どうか解毒をしてやってくれないか」
私は怪しいと思いながらもあまり知らない人を倒してしまうのは嫌なので毒を解いた。
すると彼らはまた起き上がる。
「魚ぁあ!痛っ!!」
また襲いかかるナツをエルザが殴った。グレイは呆れたように首を振る。
「すまない。料理を少し分けてくれないだろうか。私たちはここで迷ってしまってな」
エルザには好感が持てたから魚を4匹私の鞄から出して焚き火の網の上に乗せた。
「ありがとう」
エルザが私に頭を下げる。
グレイも頭をかきながら言った。
「悪かったな」
「別に良いよ。仲間が殺されそうになったならそうなるよね。…ところで何でこんなとこにいるの?」
笑ってそう聞くとナツが走ってくる。
そして焚き火の前で魚を見ながら話す。
「お前良い奴だな!俺らはこの近くの村にクエストに来たんだ。なんか村の海を荒らす化け物がいるとかなんとかで!」
私は首を傾げた。
海を荒らす化け物、らしき物を昼頃勝手に倒してしまった記憶がある。
なんか気持ち悪い大きい生物が漁業をしている船に襲いかかっていたから毒で倒しておいたはずだ。
「クエストって事は魔道士なんだね。…それとごめん。その化け物?さっき倒しちゃった」
「ええぇえ!!」
ナツが叫んでいる。
ふむ、とエルザは考え込んだ。
「じゃあきっとギルドに依頼取り消しされているな…。私達が迷っている間に襲われた人が居なくてよかった。ありがとう」
そう言ってエルザは溜息を着いてから微笑んだ。グレイが不服そうに呟く。
「じゃあ俺たち何でここまで来たんだよ」
「まあ、いいじゃん。魚食べれるし」
ハッピーも魚を見つめながら話した。
もうそろそろ焼ける頃合いだな。
魚をトングで取って1匹ずつ大きい葉の皿に乗せてから簡単に塩を振って渡していく。