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短編 フェアリーテイル

第19章 ミストガン 「君ならいつも」


それから今までずっとこの村で育った。

いろんな人が毒の使い方を教えてくれて楽しく過ごせている。

でもいつも必ずジェラールの顔が出てくる。

私の毒は何かを倒すだけじゃなく、何かを魅了したり幻覚を見せれたりもするらしい。

これもこの村での修行のおかげで得た力だ。
でもやっぱりジェラールに見てほしい。

村長さんに会いに行く。


「村長さん。今までありがとう」


そう、今日私はこの村を出ていく。
ジェラールを探しに行くために。


「…カナタならきっとどこへでも行ける。行っておいで。……時々帰ってくるんだよ?」


そう言われて私は笑顔で頷いた。村長さんも涙を流しながら微笑んだ。



村を出て村長さんから聞いた方へ向かう。昔私と離れた後ジェラールが向かった方。


だんだん森の木が少なくなってくる。
これはもうすぐ集落に着くはずだ。

彼と旅に出ていた時に培った知識。


案の定村が出てきた。そこで私はいろんな人に声をかけた。


「青髪で、ローブ羽織ってた人知りませんか?右の顔に紋章が入ってるんです」


8人目にヒットした。


「昔見た事ある。綺麗な顔してた人だろ?」


女性が時々上を見ながら思い出している。私が何処に行ったか尋ねると


「んー…確かとは言えないんだけどね」


と反対側の森の中を指さされる。


「ありがとう!」


そう言って私は森の中へ走った。



夜になってきて川辺で火を焚く。
村で買ってきた魚を焼いているとガサガサ、と後ろの草むらから音がした。

私は無言で魚を焼き続ける。

しかし周りには即効性がある毒を纏った。


「魚くれえ!ぇぇぇ…」


背後から飛びかかってきた男は倒れ込んだ。すると後ろから羽が生えた猫が飛んでくる。


「ナツ!死んじゃダメだ!!」


私は毒を放ったままそれを見る。
するとその猫もまた毒に倒れていった。

…この猫美味しいのかな。

気を失っている猫をつまみ上げると私の体が凍った。


「…その手離せ」


上裸の男の人がこっちに氷の弓をひいている。
このままじゃ撃たれる。

ゆっくりと手を離すと猫は地面に落ちた。

まだ私を狙い続ける彼に私は言う。


「…魚焼いてただけなんだけど。殺される?」


「お前が変な魔法使うからだろ」


「そりゃ背後から襲われたら使うでしょ」



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