第2章 グレイ 「多分貴方のこと」
「...ちょっと待て」
グッとスティングに握られてない方の手を掴まれる。
「そいつ怪我してんだぞ。なのに手当もしてやんねえのかよ?」
「んだ?お前...、関係ないだろ」
スティングは深く溜息をついて私の腕を掴む男の人の腕を強く握った。
「いっ...て...」
男の人は痛さに顔を歪める。それでも負けじと口を開いた。
「お前ら同じギルドのもんだろ。今さっきまでギルドの為に戦ってたやつにそんな態度ってのはどうなんだ?」
「しかし、こいつは負けた。そうだろ?お前も見てたハズだ。あんな野郎に惨敗したコイツを」
スティングが嘲るように笑いながら私の髪をグシャグシャと強く撫でる。
...やめて、私が1番分かってるのに口に出して言わないで。
「...行こ。スティング」
恥ずかしくて男の人を見れずスティングを見た。するとスティングは嬉しそうに声をあげた。
「...はは!......はぁ、お前迷惑なんだよ。」
スティングは男の人の方を見て鼻で笑ってから私の腰に手を回して歩き出した
途中、何か言われていたけど聞くことも出来なかったし振り返ることも出来なかった。けど...優しくしてくれたあの人とはあまり戦いたくないなと思った。