第2章 グレイ 「多分貴方のこと」
グレイはうちのギルドでも女子人気が高い。ジュビアちゃんは結構ヤバいと思われがちだけど案外同じような人も結構いる。
それは妖精の尻尾内も例外じゃなくて...。
グレイと付き合うことになったのは大魔闘演武のときのこと。
大鴉の尻尾の人と戦った後私は皆の元には帰って来れたもののそこで倒れ込むくらいの大怪我を負っていた。
ミネルバはそんな私を手のひらでぶった。
「ギルドの名を汚すでない!...フンッ、スティング、ローグ、オルガ、行くぞ」
ユキノは私を心配そうに見つめる。ミネルバに睨まれているのが分かっていないのか?私を気にしているのがバレたらユキノが何か言われちゃう。
すると私の後ろを通り過ぎる振りをしながらルーファスがサッとしゃがんで私の肩に手を置く。
「...カナタ、大丈夫かい?」
「大丈夫だから...、ユキノを連れて行って」
小さい声で話すとルーファスはコクッと頷いた。そしてユキノの腕を掴んでミネルバの元へと歩いていく。
皆が見えなくなるのを確認して、私は壁にもたれながら立ち上がった。
「...はあ、医務室行こ」
少し歩いていると右足がズキンと痛んで倒れ込んでしまった。
「いっ...、たぁ」
零れそうになる涙を堪えながら右足をさする。
「おい、大丈夫か?」
その時手を差し伸べてくれたのは妖精の尻尾の男の人だった。
「...だ、いじょうぶ。貴方には関係ない...!」
ほんとはお礼を言いたかったけど言えなかった。
その人の後ろにはスティングが居たから。
「...そうかよ」
眉間に皺を寄せたあの人は手を引っ込める。
すると私の顔を見てニッと笑ったスティングがからかうようにあの人に話しかけた。
「はいはい、カナタに話しかけないでくれる?...行くぞ」
あの人の肩にわざとぶつかりながら、倒れ込んでいる私の腕を掴んで無理やり立たせる。
「...こんなとこで倒れてんじゃねえ。俺らがナメられんだろ」
耳元でそう言われる。頬を片手で掴まれて揺さぶられた。
「ごめ...っ」
引っ張られながら医務室とは真反対に連れられる。
...せっかくここまで来たのに。