• テキストサイズ

短編 フェアリーテイル

第17章 ロキ 「僕のって印」


「一応俺の家っすよ。…流石に見られたからって怒んないでくださいね?」


リンくんが笑いながら入ってくる。それに続いて子供達も料理を持ってくる。

今日はカレーらしい。
少し大きめに切られた野菜が入っている。


「お兄ちゃん達も食べていくのー?」


それも良いな、と思っていると、


「ううん。今日はもう帰るよ」


というロキさん。
あれ、普段用事がなかったらいつも食べて帰ってるのに。

ロキさんを見つめていると彼はニコッと笑って私の腕をひいて立たせた。


「じゃあ、また明日もくるから。リンの言う事よく聞いているんだよ」


私の腕を引っ張るロキさんに焦る。
私は持ってきていたお菓子を机にサッと並べる。


「これ、1人1つね!仲良く食べるんだよ?じゃあね!」


お菓子を見て目を輝かせる子供達と笑うリンくんに見送られながら家を出た。



私と手を繋いで故郷を颯爽と出ていく彼に首を傾げる。


「…どうしたんですか?」


「ああ、ごめんねカナタ。なんか我慢できなくなっちゃった」


ニコッと笑う彼の意味を理解する。
顔がかーっと熱くなる。


「何言ってんの!?バカじゃん!」


「そうかもね。僕は本当に馬鹿だなぁ。…こんな僕の事、嫌いになっちゃった?」


余裕そうな笑みで言われて私は口を噤んだ。
そして小さい声で言う。


「……ならない、けど」


そんな私を見たロキさんはフッと笑った。


「そう言ってくれると思ってたよ」


それから2人で歩くも何だか恥ずかしくて無言になってしまう。

ロキさんは止まってから私の頭を撫でた。


「あと少しで、僕の家だから…。そんな緊張しないで?…あー、何だか僕も恥ずかしくなっちゃう」


絶対思ってない顔に頬を膨らます。


「嘘つき」


「ええ?嘘じゃないよ」


笑う彼は今さっきよりもゆっくり歩き出した。




/ 197ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp