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短編 フェアリーテイル

第17章 ロキ 「僕のって印」


…難しいなぁ。


「…ここはこうなるから…、聞いてる?」


私の顔を覗き込むロキさん。ハッとして前を向くと他の子供達も皆こっちを見て笑っていた。

今は皆でちょっとした勉強会を開いている。
講師はロキさん。

子供達だけじゃなくリンくんや私も昔から学業に手をつけたことは無いから皆と教わる。


「難しいね…これ?」


私がそう聞くとリンくんはポカン、と口を開けてから苦笑いをする。



「まだ基礎っすよ…?コイツらでも解けてます」


え…嘘。皆の答えを見てみると確かに解けてる。


「はあ?マジかよ…。んー…よしっ。止め!」


自分だけ解けて居ないことに不満を持った私はそう提案する。


「いや、ほんとヤバいってばカナタ。…まあ、今日は結構やったし終わる事にするか。皆、ご飯にしよう」


「「「はーい!!」」」


ロキさんは呆れながらも笑って私の頭を撫でる。
リンくん達は先に料理を作りに部屋を出た。

項垂れて机に突っ伏した私の髪をロキさんはゆっくりと撫でながら梳く。


「カナタってば根性ないな〜。…そんなとこも可愛いけどね」


「…やかましい」


耳を塞ぐとロキさんは私の顔を上げさせた。

目が合ったと思ったらキスをされる。
…どこでキスするムードなの今。


「…ほんっとつれない所も可愛いよ。可愛すぎて僕死んじゃいそう」


笑いながら言う彼に私は唇をとがらす。


「…死なないでよ」


「…っ、なんでそんな事ばっかり言うかなぁ」


ロキさんは少し髪をぐしゃっと崩してから笑う。そして私の首に手を回して今度は長いキスをした。

角度を変えて何度も何度も。

苦しい…。

目が合ってロキさんが少し微笑む。


「…ごめんね?苦しかったね」


そう言って今度は私の首にキスをしてくる。
くすぐったさに耐えているとロキさんは呟く。


「…あ」


「……あ?」


振り返るとドアの隙間から真っ赤な顔で覗く皆が。





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