第16章 エルフマン 「どこまでもロマンチックに」
丸まっていると無言で腰を撫でてくる彼。エルフマンの手は凄い暖かくて気持ちいい。
そのままずっと撫で続けてくれていて何だか眠たくなってくる。
「…カナタ。おやすみ」
その声で私は眠りについた。
パッと目が覚めるともうお昼を過ぎて、夕方になっている。
すごい寝ちゃってたんだ…。
部屋からはアロマのいい匂いがする。
…焚いてくれてたのかな。
お腹もだいぶ痛くなくなったしお礼を言いに行こうと思ってドアを開けるとキッチンで何かしているエルフマンが見えた。
「…何してるの?エルフマン」
後ろから抱きつくと彼は少し体を強ばらせる。
そして振り返ってから微笑んだ。
「起きたのか。大丈夫か?痛いのは治ったか?」
「治ったよ。ありがと。いろいろしてくれて」
私がそう答えると彼はまた手を動かし始めた。
「今、鍋を作ろうと思っていたんだ。あと少しで出来るから待っていてくれ」
その言葉に感動する。
「…エルフマンは将来良い旦那さんになるね」
笑いながらそう言うとエルフマンは固まる。
それが可愛くって笑いながら寝室に戻った。
少ししてエルフマンに呼ばれる。
寝室から出て鍋を覗きこんだ。
「うわ…美味しそうすぎてもう美味しい」
そう呟くとエルフマンは笑いながらお皿によそってくれる。
「…いただきます」
お肉メインのお鍋でいい匂い。
口に運ぶとお肉の旨味が口いっぱいに広がる。
「美味しい…!!」
「…良かった。どんどん食べていいからな!」
エルフマンも嬉しそうに微笑んでから鍋を食べる。
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした、と…カナタ。…俺はお前の旦那にしかなる気はないぞ」
いきなり凄いことを言われて吹き出してしまう。
「…な、何。急に…」
ドギマギして笑いながら聞き返すと彼は私の手を掴んで向き合う。
「キッチンで、何となく他人事みたいだったから。…俺はカナタとしか結婚するつもりはない」
誰か助けて。
顔真っ赤にしてこんなに可愛いこと言われるともう死にそうです。
「んんっ…。そっか。…私もだよ?」
そう小さく返事をすると彼はニコッと笑った。
「なら、良いんだが」