第16章 エルフマン 「どこまでもロマンチックに」
んー…痛い、痛すぎる。
腹痛の強弱がついた波がずっと襲ってくる。
布団にくるまって何でか分からないけど泣きそうになりながら寝転んでいるとインターフォンが鳴る。
エルフマンが来た。
布団を引きずりながらヨタヨタと歩く。
そしてドアを開けた。
「いらっしゃい。ごめんね…。デート潰しちゃって」
「いや、構わない。それよりカナタ。布団に入って寝ていてくれ。」
入ってきて速攻キッチンに向かう彼。
何か作ってくれるのかな?
…まあ、言われた通り布団に入っていよう。
寝室に戻った。
寝た方がマシって分かってるのに痛すぎて寝られない。
「うぅー…。助けてぇぇぇ…」
のたうち回っていると寝室のドアをノックされる。
「入って良いけど、…引かないって約束して」
今の髪ボサボサ、顔死にそうの状態でエルフマンに見られるのは正直気が引ける。
てか分かってたじゃん。
家にあげたらこうなるの。
ほんと馬鹿だ私。
じわっと涙が滲んでくる。
するとドアが開いた。
「俺はどんなカナタを見ても引く事なんてない。…ココアを作ってきたのだが、飲めるか?」
エルフマンの声に何故か更に涙が出てくる。
ヤバい、情緒不安定すぎる。
「ありがと…。置いといてくれる?」
腕で目を隠す私にエルフマンは近づいてきた。
そしてゆっくりと腕を目元から離される。
「…ん?泣いているのか?…よしよし」
いつもの大きいあの声じゃなく小さくて優しい声。
しかも頭を撫でられている。
…何これ、逆に幸せすぎて泣きそう。
ベッド脇に座って頭を撫でてくれるエルフマン。
彼の腰に抱きついた。
「痛くて死んじゃいそう…。…デートもしたかったのに、ごめんね」
抱きついたままそう謝るとエルフマンは私をお持ち上げて自分の両足の間に座らせた。
「なんて事はない。また行けばいい。…それより、お腹が痛いんだよな。薬は飲んだか?」
と言いながら私を抱きしめる彼。
「飲んだよ。でも効かない…」
「なら、寝よう」
愚痴を言う私にエルフマンは微笑んだ。
「…寝れない」
下を向いてそう言った私をベッドに寝かしてくる。
「まあ、目を瞑るんだ」
彼に言われるまま目を閉じた。