第15章 ガジル 「決心」
連れて来られたのはどこかのギルドらしい。
「ガジルの奴が…」
とか言ってるのが聞こえる。
私は目を瞑ったまま意識がないフリをする。
…これは多分ガジルに復讐する為に私を連れ去ったんだな。
ガジルまだ帰ってきてなかったらどうしよう。
このまま殺されたりはしないよね。
「…コイツ、起きてないか?」
1人の男の人が私の髪を強く掴んだ。痛い…。
我慢したつもりが顔で分かってしまったらしい。
「……起きてんな」
もう1人の男の人が私の顔を掴んだ。
そして私の顔を見てニヤッと笑う。
「…つーか、コイツがガジルの野郎の女とかマジ勿体なくねえか」
「ああ、俺も今思ってたとこだ」
グッと顔を近づけられて私は顔を背ける。
ヤバいヤバいヤバい
助けてほんとに無理!!
ガジルにもそんなにキスされた事ないのに!
首を横に振ってキスされないようにする。
「やだやだっ!!」
「…んだ、コイツ。大人しくしろやっ…」
頬を掴まれて泣きそうになった瞬間奥から木がメリメリと壊れていく音がした。
…このギルド木造っぽいよね。
もしかしてガジル来た…!?
本当にその通りらしく私の周りにいた2人の男の人も音の方向に走っていった。
暫くして、物音が消える。
…終わった?
ドアが開く。
…立っているのはボロボロになった男の人で。
ガジルは…?
泣きそうになった時、その男の人が倒れた。
後ろには肩で息をするガジルが立っていた。
酷い怪我をしてないようで良かった。
恐怖からか、安心からか、つい涙が流れる。
「…ガジル」
「カナタ。…怪我は無いな」
私の前にしゃがみこんで私の涙を拭う。
そして私を抱き上げた。
「……帰るぞ。俺たちの家に」
私は頷いた。