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短編 フェアリーテイル

第14章 ジェラール 「会えないけれど」


「え、…ああ…これ。俺の仲間の魔法なんだ。今、カナタと俺の感情はリンクされてて…、だから」


ジェラールが見せる手首のマークと私の手首のマーク、まったく一緒だ。

ってことは…


「俺も、カナタが好きだよ。…一度も忘れたことなんてない」


強く抱きしめられる。
凄く温くて、苦しい。

これはどっちの気持ちなのかは分からないけど、私は泣きながらジェラールに抱きついた。


「…大好き。ジェラールの事大好きだよ…。私も、1日たりとも忘れた事なんて無かった!」


「…ああ」


「あの地獄みたいな日々も、ジェラールがいつも私の中で励ましてくれてたから耐えれたの…!」


背中をゆっくりと撫でられる。
深呼吸をしながら息を整えていると


「…カナタ」


名前を呼ばれる。

上を向くとローブを被った彼にキスをされた。
今にも爆発しそうなくらい胸がいっぱい。

少しだけのキスだけど嬉しい。


「…ジェラール。……また、離れちゃうんだよね?」


私の声を聞いて目を開く彼。


「知ってたよ。ジェラールが評議員に追われてたことも。…今は、新しいメンバーと居るんだよね。噂で聞いた」


私が微笑むと彼も少し微笑んだ。
しかしすぐ悲しそうに眉を下げる。


「…そうだよ。ごめんね。君と一緒には居られないし、連れていくこともしない」


そう言われて私は目を閉じる。
今さっきとは違い、切なくて苦しい。


「…わかってる。……気をつけてね」


「ああ、必ず会いに来るから。待ってて」


ジェラールはもう一度私にキスをした。





そして踵を返して今度こそ街の方に向かった。
私が涙を流していると、もうマークは消えていて。


「…繋がっていられないんだね」


しゃがみ込んだ。
すると両方から肩を叩かれる。


「苦労するね。あんな奴で」


と可愛らしい声と


「ふふ…、ほんとよね」


と大人っぽい声。


前を見ると走っていくローブ姿の2人がいた。






-𝑒𝑛𝑑--------
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