第13章 ラクサス 「お前だけ」
「じゃあ見ていいよね?」
目を輝かせる私を見てラクサスは溜息をついた。
しかし私を止める手は離して、
「お好きに」
と言う。
お言葉に甘えて箱から中身を取り出す。
それは色違いの私の好きな色のネオンラインが入ったヘッドフォンだった。
「…こっちも可愛い!でも、何で2つも買ってきたの……?」
首を傾げながら言うと。
「絶対笑うなよ」
と少し動揺して赤くなっている顔で睨まれる。
……何このラクサス可愛い!
もう既にニヤける口を抑えながら頷く。
するとラクサスは話しだす。
「カナの奴と話してる時に『彼氏とお揃いとか憧れる』って話してたろ。……叶えてやろうと思っただけだ」
視線を横にずらしながら腕で顔を隠している。
もう随分昔の話じゃなかったっけ…?
そんな事覚えててくれたのか!!
「てことは…、これラクサスもつけてくれる?」
お揃いの物が嬉しくてラクサスにヘッドフォンを差し出すとラクサスはそれを受け取って自分の首にかける。
「……ああ」
「でも、何で私が黄色…?これラクサスが好きな色だよね。こっちじゃなくて良いの?」
私が貰ったネオンイエローのヘッドフォンを見るとラクサスはニッと笑う。
「俺の色つけてると男避けになんだろ。…それにコイツを見たら嫌でも俺の事を思い出すだろうしな」
なんとも発想がラクサスらしい。
でもラクサスが絶対にしないと思ってた色違いとか本当にテンションが上がる。
「…今まで生きてきた中で2番目に嬉しいよ」
ラクサスは怪訝に眉をあげる。
「2番目?……1番はなんだよ」
私は下を向いて笑った。
「ラクサスに久しぶりに会えたあの日!」
するとラクサスはグッと唇を噛み締めた。
そして私の頬を撫でる。
「そうか。お前、俺の事ほんとに好きなのな。」
そう言いながら軽くキスをされる