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短編 フェアリーテイル

第13章 ラクサス 「お前だけ」


いや、何も無いだろうけど。何でそんな事に?

………モヤモヤするけどラクサスに浮気はない。


ベッドにダイブして考えているとラクサスが帰ってくる。

そんなに時間たった!?
走って玄関に迎えに行く。


「おかえり!ラクサス!!」



「ん」


と軽く手を上げて靴を脱ぐラクサス。


「何買ったの?」


袋を覗き込むと彼は片方の袋を開ける。


「これ、やるよ」


目に入るのは白いレース生地の可愛いワンピース。それは前々から欲しいと思っていた服だった。


「え、良いの!?…うわぁ、嬉しい!欲しかった服なんだけど。どうしよう。今すぐ着たいな」


わー!と感動している私の頭を撫でた。


「いつもの礼だ。それを選ぶの手伝ってもらってた」


……ほんとはラクサスに選んでもらえたらなんでも嬉しいんだけど。
でも、ラクサスがこれを買うためにあの可愛いブランドの店にいると思うと何でも許せる。


「ありがと!」


「さ、もう風呂入ってこい。料理……は温めといたら良いな?」


「うん!」


私が浴室に向かうと彼は自分の部屋に入った。



あれから1週間が経ち、遂に誕生日。
2人っきりで家にいることにした。

リビングに入ると


「こっち来い」


とラクサスがソファに座って私の腕をひいた。


「目、瞑っとけ」


「わかった…!」


サプライズでもしてくれるのかと楽しみに目を閉じていると袋から何かを取り出す音がする。

まだかな、と待っていると首にひんやりとした感覚が走る。


「んっ……。何?」


「もう良いぞ」


手で触るけど何か分からなくて鏡を見る。


「え……。可愛い!!」


黒ベースでネオンイエローのラインが入ったお洒落なヘッドフォンが目に入る。

感動してラクサスに抱きつくとラクサスは私を受けとめた。


「それでもっと音楽勉強しろよ」


「もちろんだよ!ありがと!!」


そしてラクサスの足元にまだ開いていない隠されたような箱を見つける。

じーっと見ているとラクサスも私の視線をおってその箱に目をやった。

しかし、ラクサスはその箱を足でソファの後ろにやってしまう。


「っ…。これは、気にすんな」


「……ほお。この私に隠し事ですか?」


ニヤッと笑うと


「…そうじゃねえよ」


とバツが悪そうに頭を搔いている。

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